国内

女子大生スマホ自転車死亡事故遺族、ながらスマホ放置に怒り

女子大生スマホ自転車死亡事故の現場

 2017年12月7日午後3時、神奈川県川崎市のショッピングモール「新百合ヶ丘マプレ専門店街」で死亡事故が発生した。商店街を歩いていた米澤晶子さん(享年77)に、1台の電動自転車が衝突した。運転していたのは、20才の女子大生。彼女は左手にスマホ、右手に飲み物、左耳にイヤホンをした状態で運転。衝突するまで気づかなかったという。

 自転車に衝突された晶子さんは、その衝撃で倒れそのまま動かなくなってしまった。診断は脳挫傷。連絡を受けた晶子さんの夫・茂さん(82才、仮名)は医師に懇願し、延命手術を施すも、ほどなくして晶子さんは息を引き取った。

 三重県で400年続く名家に生まれた茂さんは、東京の大学を卒業後、金融機関に勤めた。晶子さんとはお見合いの末に結婚。2人の娘に恵まれ、愛犬は柴犬(雌)という“女系一家”を支えるため、身を粉にして働いた。憩いの時間は、夫婦での海外旅行だったという。

「家内が旅行好きでしてね。特にヨーロッパがお気に入りで、スイス、ロンドン、パリといろんなところを回ったものです。老後はゆっくり時間が取れるようになったから、温泉や海外に2人で行くことが楽しみでした。昨年11月には家内の喜寿祝いで、5泊7日でハワイに行ったんです。私は足が悪いから、家内に車いすを押してもらって」(茂さん)

 残りの人生、どこの国に行こうかと夫婦で話す時間が、至福のひとときだったという茂さん。飛行機に乗る際は、万一に備えて貴重品の場所を明記した遺書まで準備したというしっかり者の妻が自慢だった。

「家内はコーラス部だったから、声がよく通った。町内で詩の朗読をしたり、一緒にカラオケにもよく行きました。美空ひばりをよく歌ったっけ」(茂さん)

 花を愛した晶子さんは、自宅の庭の手入れも欠かさなかった。しかし、彼女亡き今、月下美人をはじめとした色とりどりの花々は、すべて枯れていた。庭の隣にある車庫も、現在は空車になっている。

「去年8月に運転をやめたんです。やっぱり危ないから。家内もそれまでは電動自転車に乗っていたのですが、私が無理言ってやめさせました。高齢者にとってはスピードが出すぎるんです。家内を見ていたら、曲がり角で停止するのも難しいみたいでね。加害者になってしまう危険もあるから、と説得しました。逆に家内が被害者になるなんて、考えてもいなかった…」(茂さん)

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト