グローバル化がますます進む現在、たとえばアサヒグループホールディングスの小路明善社長はかつて、こう語っていた。
「国内事業と海外事業、どちらにも“等距離で”向き合わないといけない。海外拠点には物理的な距離はあっても極端な話、欧州でも2泊で出張に行ってこられるわけですから」
定期便利用でそれなら、ビジネスジェットを活用すればさらに効率的な出張が実現できるのは明らかだ。経済合理性には叶っているので、あとは世間の目がどう変わるか、あるいはサラリーマン経営者たちが世間体をどう考えるかだろう。
この点は、オーナー経営者たちのほうが当然、思い切ってビジネスジェットを利用しやすいメンタリティーがある。また、JAL陣営もANA陣営もビジネスジェットを利用してもらううえで、多忙なトップの時間節約以外に、何百人も乗っている定期便に比べてテロやハイジャックリスクが軽減できるといった点もアピールできる。
いずれにせよ、今後は日本発の直行便のビジネスジェットには及び腰のサラリーマン社長も、海外のエアラインには前述したような定時に飛ばない遅延リスクなどがあることを考えると、まずは定期便で欧米に飛び、乗り継ぎでシーンでのビジネスジェット利用から徐々に増えていくのではないか。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)