スナックの次は市場調査の会社も経営し、短歌集を出して出版パーティーを開催したこともあります。これら全て、男性からいただいたお金で叶えた夢です。
私は正統派の美女ではありませんが、男性にはモテました。相手の好みを研究し、雰囲気や振る舞いを演出すると、みな私に夢中になるのです。
そんなある日、仕事で知り合った女性に手形の裏書き(手形の譲渡)を頼まれました。信頼して応じたのですが、これがつまずきの始まりでした。額面2000万円の手形の期日に女性の会社が倒産し、私が肩代わりするはめに。
当時の私は贅沢三昧の暮らしだったため、自分も借金まみれ。手形の返済と合わせ、借金の総額は1億円を超えていました。
頼りにしていた男性たちも仕事を引退し、お金を“引き出す”ことができません。仕方なく手元にある宝石や車を売って生活する毎日でした。一時は闇金にも手を出していて、一刻も早く借金を返す必要がありました。
そんなとき、ふと知人女性に「30万円投資してみない」と言ってみたところ、いとも簡単にお金を得ることができたのです。元金完全保証とか20%の配当率を10回に分けて戻すなどのルールを浅い知識で適当に作りました。
あまりにも簡単にお金が手に入ったことに驚きました。金持ちの知り合いをターゲットに、同じ話を持ちかけました。すると面白いようにお金が集まって来るようになったのです。これが「つなぎ融資」の始まりです。
2年もするといったいどれくらいの人がいくら投資しているのかわからない状態になりました。毎日のように数百万円単位のお金が目の前に積まれ、流れて行く。お金の感覚は完全に麻痺し、高級外車や宝石を買い漁りました。
60才の時、旅行先のフィリピンで美しいフィギュアのような男性に巡り会います。一目惚れした私はすぐに高級車と家を買い与え、月額180万円を支払う愛人契約を結びました。ただ、彼とは最後までお金だけの関係でした。
◆500万円を3日で使う
いつの頃からか、投資話が嘘だと気づく人が現れ始め、除々に私の元にお金が集まらなくなってきました。詐欺容疑で警察も動き出し、隠れるしかないほど追い詰められた時、ふと浮かんだのは、やっぱり男性の顔でした。
以前から私に好意を持ってくれている九州のAさんという会社社長。電話をすると、案の定「すぐに来なさい」と言ってくれた。以後しばらく、熊本市内のとある場所で匿ってもらうのですが、身についた華やかな生活が忘れられません。