首都直下型地震以外にも大地震は迫っている。政府の地震調査委員会が発表する南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率は70~80%と極めて高い。震災規模は東日本大震災と同等のM9クラスと想定されており、震度6の地震はいつどこで起きてもおかしくないのだ。
とはいえ、買い物中に地震に遭遇したら、自分のいる建物が危険なのかどうか瞬時に判断できない。
「柱の周辺に注目してください。弱い建物なら、X字状もしくは斜めに大きな亀裂が入ります。これを『せん断破壊』といい、中の鉄筋が切れて起きます。そうなると建物が自重を支えきれなくなり、倒壊の危機が迫っているサイン。すぐに外に逃げましょう」(渡辺さん)
東京都の発表に先立って、2017年3月には大阪市も市内建造物の耐震診断結果を発表。「大阪府庁舎本館」や「きんえいアポロビル」などの施設が「倒壊の危険性が高い」と指摘された。
昨年以来、東京・大阪のほかにも多くの都市で耐震診断の結果が公表されている。住宅診断大手・さくら事務所の長嶋修会長は、相次ぐ公表の真意をこう推測する。
「耐震診断結果を受けての工事は義務ではなく、強制することはできません。建物名を発表することで1日も早い耐震補強工事を促す意味があると思います」
※女性セブン2018年5月3日号