国内

がん保険CM出演の山下弘子さん 患者のロールモデルにと願った

山下弘子さんは自分が患者のロールモデルにと願った

 5年以上に及ぶがん闘病の末、3月25日に亡くなった山下弘子さん(享年25)。生命保険会社「アフラック」のCMに嵐の櫻井翔(36才)と出演し、「がんになって、いい子をやめました」と語っていたのを覚えている人も多いだろう。

 そんな最愛の妻との「最期の思い出」を語るのは夫で兵庫県議会議員の前田朋己さん(37才)だ。

 * * *
 がんが見つかるまでのひろ(山下弘子さんの愛称)は、周囲の反応を見ながら相手が求める理想像を演じていたそうです。でも、がんになって、「他人が求める自分じゃなく、自分が生きたい自分を生きたい」と思うようになって、アフラックのCMでは「いい子をやめます」と宣言したのです。

 どんな人生であっても自分が主人公なのだから、前向きに1分1秒を大切にして「今を生きる」ことが何よりも大事なはず。ひろはそのことを命を懸けて伝えようとしたのです。

〈その言葉を実現させるため、闘病中の弘子さんはさまざまな活動に身を投じた。彼女が講演で「人生は長さよりも濃さに意味がある」と語ると、多くの聴衆が涙した。〉

 ひろは小さい頃から論語や聖書を読んでいて、「万事が益となる」──“苦境にも必ず意味がある”という教えを学んでいたので、病気になったことには意味があり、自分は絶対に治ると信じていました。

 がんと闘いながらの講演活動は痛みや苦しみも多く、まさに一進一退を繰り返しながらの活動でした。でも講演を聞いた人から「感動しました」「生き方を前向きに考え直すきっかけになった」と感謝されると、大きな励みになっていたようです。

〈そんな弘子さんの活動に対し、時に「余命宣告ビジネス」「死ぬ死ぬ詐欺」と心ない批判が寄せられた。落ち込んだ彼女は取材依頼をすべて断ったこともあった。〉

 本来、がんと闘う上では、24時間ほとんど病気のことを考えないほうがメンタルコントロールは楽なんです。

 講演を行うとなるとどうしても準備が必要となり、肉体的ストレスだけでなく、精神的ストレスも多い。がんのことを考えなければならないですから。だから病気のことを考えれば、講演はしないほうがよかった。もともと彼女は表に出て話をするタイプじゃないし、自由に生きたいのに顔が知られると生きにくくなる面もありましたしね。

 それでも、ひろはがんになっても前向きに自分の人生を楽しむことを世の人に示したいという思いが強かったから、再び講演を始めたんです。

 CMに出たのも「がんになってもチャレンジしていいんだ」という信念からでした。自分がロールモデルになることでがん患者の気持ちが少しでも前向きになってくれたらいいと心から願っていたんです。

〈がん患者でも人生を楽しめる…そう信じた弘子さんの生き甲斐となったのが海外旅行だった。がん発覚後、入退院の合間を縫うようにして30か国近くを訪問した。その多くに朋己さんは同行した。〉

関連記事

トピックス

2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
中国で延々と続く“高市降ろし”の反日攻勢にどう対抗するか? 「解決策のカギの1つは公明党が握っている」、大前研一氏の分析と提言
中国で延々と続く“高市降ろし”の反日攻勢にどう対抗するか? 「解決策のカギの1つは公明党が握っている」、大前研一氏の分析と提言
マネーポストWEB