いずれ「一国二制度の連邦国家」(南北連合国家)に移行するという文在寅と金正恩の思惑通りに進めば、核が残ったまま朝鮮半島に統一国家が誕生する。
「統一朝鮮」は、日本を「民族にとって共通の敵」とすることで結びつきを強め、かつてない反日攻勢を展開するだろう。北朝鮮の人権は棚に上げて、慰安婦問題や徴用工問題で世界中に日本の非道を喧伝し、訴訟も相次ぐことが予想される。
その傍ら、日本に北朝鮮への巨額な経済援助を求めてくるだろう。その時、朝鮮統治という歴史的経緯を踏まえて「譲歩すべき」という声が日本国内で上がれば、彼らの思うつぼだ。
統一朝鮮では「一国二制度」を経て、やがて大統領選を実施する計画だが、北のほとんどが金正恩を支持し、南の何割かが金正恩に投票すれば、金正恩大統領が誕生し、核のボタンを握ることになる。
日本人の多くは米朝戦争が「起こらなかった」後のことを考えていない。しかし、日本を待ち受けているのは、悪夢のようなシナリオであることを今から覚悟し、来る時に備えておくべきだ。
【PROFILE】呉善花/1956年韓国済州島生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に『韓国と北朝鮮は何を狙っているのか』(KADOKAWA)、『超・反日 北朝鮮化する韓国』(PHP研究所)など多数。
※SAPIO2018年5・6月号