「帝国ホテルの看板を背負っている田中氏と違うのは、三國氏が“オーナーシェフ”であり、自由な動きができること。農林水産省や文化庁がらみのさまざまな委員を歴任し、プロフィールを見ると『食の大使』の肩書きが20もある。さまざまな事業に関与したり、政府関係者との結びつきを強めることにとても積極的です。

 田中氏は飲食戦略検討会議の委員ですが、一方の三國氏はプロ野球の王貞治氏らとともに大会組織委員会『顧問会議』の顧問を務めている。立場的にどちらが上かは微妙ですが、顧問会議の議長は安倍晋三首相ですから、“政治的”な強みはあるのでは」(政府筋)

 三國氏が安倍首相の「ご贔屓」であることはつとに有名だ。2013年に仏・オランド大統領(当時)が来日した際には、官邸で開かれた「日仏ワーキングランチ」の総料理長を任された。

 自民党が大敗を喫した昨年7月の東京都議選の投開票日の夜には、安倍首相が麻生太郎副総理や菅義偉官房長官らを『オテル・ドゥ・ミクニ』に呼び出して会食。大好きな三國氏の料理で失意からの回復を図ったなどと言われていた。

「安倍首相と三國氏はともに昭和29年生まれで、著名人が集う『29年会』のメンバーです。でも、三國さんが首相以上に仲がいいのは昭恵夫人。一緒に食事会を開くほか、昭恵さんの居酒屋『UZU』開店の相談に乗り、彼女が食に関する本を書く時にもアドバイスしたと言われている。昭恵さんが後援会会長を務める社会福祉法人の後援会の発起人にも、名を連ねていました」(前出・全国紙記者)

 三國氏は、田中氏以上に「総料理長」への意欲を露にしてきた。

 2014年9月の顧問就任と同時期に開かれた日本酒メーカー主催のイベントでは、「日本にちゃんとした料理人は100人もいない。6年後、恥をかくのはみえみえ」と指摘。顧問就任後も、「(レベルアップのために)北海道から沖縄まで、勉強会を開いて準備を進めていきたい。心構え、衛生面、レシピなど、ミクニチームをフル活用していきたい。五輪の時には私は66歳になる。人生の集大成として取り組んでいきたい」などと業界誌で熱い想いを打ち明けた。

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