国内

美智子さまのご希望で日本古来の蚕の飼育継続された

日本古来の蚕を守られた美智子さま(撮影/JMPA)

 奈良・東大寺大仏殿の北に位置する正倉院には、奈良時代の聖武天皇とその妻・光明皇后ゆかりの品など9000点を超える宝物が収蔵されている。その中には、傷みや劣化のために、その歴史的・文化的価値が失われそうになったものもある。すんでのところで防いだのは、美智子さまの「こだわり」だった。

 5月13日午前、皇太子ご一家が皇居・紅葉山御養蚕所へ足を運ばれた。

「古くは日本書紀に皇室と養蚕の関係をうかがわせる記述があります。現在の皇室による養蚕は、明治天皇の皇后・昭憲皇太后が始めました。『皇后の仕事』であり、美智子さまの次は、雅子さまに引き継がれるものと考えられていました。その日、雅子さまは蚕に桑の葉を与えたり、繭の収穫作業の作法について、美智子さまから直接説明を受けられたそうです」(皇室記者)

 毎年5月上旬頃に「御養蚕始の儀」が行われ、同月末頃に糸が収穫される。その糸は、国賓への贈り物などに使われるほか、愛子さまや悠仁さまの産着にも使用された。

 御養蚕所で飼育される数種の蚕の中に、純国産種の『小石丸』がある。病気に弱く飼育が難しい上、生産性が低く、一般では取り扱われることが少なくなっている。皇室でも昭和から平成に移り変わった際に、生産中止が検討された種だった。

「日本古来の蚕が姿を消してしまうのを惜しまれた美智子さまが“もう少し育てたい”と希望されたことで、生産は継続されることになりました。後に、正倉院に収蔵された古代絹織物の復元に、その小石丸の糸が適していることがわかり、実際に美智子さまが収穫された糸が使用されました。美智子さまの『英断』がなければ、復元事業は実現しなかったかもしれません」(前出・皇室記者)

 国策として絹や生糸の輸出が奨励された時代の昭憲皇太后、貞明皇后、香淳皇后、そして美智子さまへと受け継がれた伝統の一方、これまで秋篠宮妃紀子さまや眞子さまが御養蚕所に足を運ばれたことがあったが、雅子さまは今回が初めての訪問だった。

「そのため“雅子さまは虫が苦手なのでは”と囁かれたこともありました。ですが、これにはご身位の問題があったようです。雅子さまは“皇后の仕事に、皇太子妃が積極的に介入してはいけない”というお考えから遠慮が強かったようで、引き継がれようとするお気持ちは以前からお持ちだったそうです。実際、今回は雅子さまの“引き継ぎたい”というご意向が美智子さまに伝えられたことからスタートしています」(前出・皇室記者)

※女性セブン2018年5月31日号

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト