フジテレビは、小柳ルミ子さん、六平直政さん、JOYさんら芸能界のフリークを招いて、熱いサッカー談義を交わす形を採用していましたが、日本vsポーランドの試合前特番では一変。『奇跡体験!アンビリーバボー』とのコラボ企画としてバナナマンや剛力彩芽さんが登場し、「両国代表のアンビリバボー伝説」「アンビリバボーなキャプテン対決」などの選手にフォーカスした企画を放送しました。
このようなサイドストーリーやバラエティー色の濃い企画が、「どうでもいいネタばかり」「サッカー番組に笑いはいらない」などの厳しい声を受けているのです。さらに、試合を振り返るハイライト番組も、試合に向けて盛り上がる事前特番も、ワールドカップに関する実質的な放送時間は1時間程度。しかし、各局ともサイドストーリーやバラエティー色の濃い企画を加えて約2時間の長時間特番にしたことで、視聴者に冗長なイメージを抱かれてしまったようなのです。
その点TBSは、29日に新旧日本代表選手の人生を追跡する特番を放送しましたが、これは独立したスポーツドキュメンタリー番組の形であり、他局のようなバラエティー色も薄め。その他の番組でも、竹内涼真さんの真摯な現地密着レポートなど、ワールドカップにクローズアップしてタレントが表に出ないものが大半を占めているため、視聴者の声はおおむね好評です。
◆サッカー解説者の需要が急増
今回のワールドカップで、もう1つ注目されているのは、各局のサッカー解説者。日本の躍進にともない、サッカー解説者の需要が急増していますが、その人選が興味深いのです。
アジア予選を放送するなど、日ごろからサッカー中継の多いテレビ朝日は、セルジオ越後さん、松木安太郎さん、中山雅史さん、中田浩二さんとおなじみの顔ぶれに、ゲスト的な立ち位置で、西野朗監督とのつながりが深く、バラエティーでの活躍が目立つ前園真聖さんを起用するなど、ひと工夫が見られます。
日本テレビは、北沢豪さん、城彰二さん、都並敏史さんらの常連に、現役選手の中澤佑二さん。TBSは、福田正博さん、戸田和幸さん、鈴木啓太さん、中田浩二さんらおなじみの顔ぶれに現役選手の松井大輔さん。両局は似たスタンスであることが分かります。
一方、フジテレビは、清水秀彦さん、山口素弘さん、鈴木隆行さんとおなじみの顔ぶれに加えて、スタジオに川口能活さん、リトバルスキーさん、田中マルクス闘莉王さん、宮本恒靖さん、永島昭浩さん、ラモス瑠偉さんを招くなど、まさに数で勝負。多くの解説が聞けることで、多くのサッカーファンを喜ばせています。
NHKは、岡田武史さん、水沼貴史さん、早野宏史さん、山本昌邦さん、ラモス瑠偉さん、宮沢ミシェルさん、名良橋晃さん、森岡隆三さん、福西崇史さん、藤田俊哉さん、岡野雅行さん、巻誠一郎さん、市川大祐さん、石川直宏さんらを日替わりで起用。さらに現役選手も遠藤保仁さんから、東京五輪世代の小川航基さんや遠藤渓太さんらを起用するなど、すべての世代をカバーするようなバランスのいい人選が目を引きます。
◆サッカー解説者のサバイバルマッチ