国内

「おっさん」は褒め言葉かハラスメントか、その基準とは?

「おっさんジャパン」に日本中がエール(代表撮影/JMPA)

 作家の甘糟りり子氏が、現代の「ハラスメント社会」での処世術について考察する。今回は「おっさん」というワードの使い方について。

 * * *
 おっさんという言葉がやたらとピックアップされている今日この頃。

 筆頭は、なんといってもサッカーW杯日本代表、おっさんジャパンの躍進だろう。直前の監督交代でほとんど期待されていなかったのに、まさかの決勝トーナメント進出だ。対ポーランド戦での最後のパス回しにはいろいろな反応があるが、とにもかくにも生き残った。あの戦い方、というか処世術にブーイングする人は、ゴジラ松井秀喜の高校時代、5打席連続敬遠にも文句いったんだろうなあ。スポーツに清廉潔白を求める度合いは人それぞれだ。

 予選トーナメントのゴールを振り返ってみれば、香川真司29歳、大迫勇也28歳、乾貴士30歳、本田圭佑32歳。見事な「高年齢ゴール」のオンパレードである。守護神・川島永嗣に至っては35歳。サッカーは詳しくないが、野球やゴルフならまだしも90分間走り続けるスポーツでこれだけアラサーが活躍するのはすごいことなのではないだろうか。

 最後の最後、監督からのあの異例の伝達のために投入されたキャプテン長谷部誠は34歳。これこそ、おっさんが適任である。年齢とキャリアによる説得力がものをいう。

 おっさん、やるじゃん。

 W杯の少し前、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)というドラマが放送されていた。

 大手不動産会社での社内恋愛を描いた物語だが、恋愛の中心人物のほとんどが中年男性なのである。それ以外は至ってオーソドックスなトレンディ・ドラマだ。ビジネススーツを着たおっさんがビジネススーツを着たおっさんに、ワクワクしたりもやもやしたり、照れくさいセリフをいったりする。フラッシュモブでプロポーズするのもされるのも、おっさん。

 これが若いイケメンと美女とならシラけるのだろうが、おっさん=恋愛弱者たちだと勝手に思っているから、応援もしたくなる。ついおっさんをいたいけに感じてしまうように、ドラマは作ってある。

 おっさん、かわいげあるじゃん。

 若者のピュアさは何にも侵略されていない良さなら、おっさんのピュアさは清濁を煮詰めてさらにそれを濾した味わいではないだろうか。仮に、そんなものがあるとしたならば、だけれど。

 クルマの中でそんなことを考えながら、打ち合わせに向かった。相手は同世代の男性編集者。三十代の頃から、何度も一緒に仕事をしてきた。

 最近では本題に入る前に健康の話題をするのが恒例だ。愚痴半分、報告半分で。かつては、どんな新しいレストランに行ったか、を競い合っていたのというのにね。

 彼は、アーモンドミルクラテを注文してから、ガンマの数値についてあーだこーだと話し始めた。中年ならたいていご存じかと思うけれど、γ-GTPとは肝臓の機能を測る数値である。

 ひとしきり話してから、彼はいった。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン