国内

上祐氏の会見を「確証バイアス」前提で心理士が分析すると…

死刑執行後の上祐氏の会見では…(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、オウム事件での死刑が執行されたことを受けて会見を開いた上祐氏に注目。

 * * *
 7月6日、地下鉄サリン事件などオウム真理教による一連の事件で、死刑が確定していた教祖、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚ら7人の刑が執行された。それを受けて事件当時、教団幹部だった上祐史浩氏が会見を開いた。

 オウム真理教の後継団体「アレフ」から分派した「ひかりの輪」の代表である上祐氏。一見すると穏やかそうな印象を受けるだろうが、地下鉄サリン事件以降、教団のスポークスマンとして詭弁をろうし、「ああ言えば上祐」と言われたほど饒舌で攻撃的だった男だ。あの事件を知らない世代にとっては、かつての彼の姿は想像もつかないだろう。だが、あの事件をリアルに見ていた者にとっては、今の彼に違和感を覚えたのではないだろうか。

 死刑執行をどう受け止めたかという問いに、上祐氏は真っ先に「被害者賠償契約を締結した日から9年目」を強調した。「ひかりの輪」はオウム被害者への賠償やアレフによる洗脳からの脱却を支援する団体として、オウムやアレフとは一線を画していると強調したいのだ。

 だが本当に彼はオウムと決別したのだろうか…?

 そう思うと、会見を見ながらも「実は違うのではないか?」という証拠を自然と探してしまう。このように自分がそうだ、正しいと思っていることを確かめるための情報は集めるが、それを反証する情報には注目しないという傾向を「確証バイアス」という。おそらく多くの人が、私と同じような確証バイアスを持って、あの会見を見たのではないか。

 ということで、自ら確証バイアスがあることを前提にした上で、会見の中でいくつか気になる点を見つけた。

 上祐氏は死刑執行については、自らの思いや感情を何も述べてはいない。そのような質問を「賠償締結の日」という答えでかわしていたのは、心の中にそれに対する抵抗があるように思えてくる。だから彼の本当の感情も本音も見えてこない。記者たちも、それ以上突っ込んだ質問をしようとはしなかった。

 だが、感情的にはかなり揺れていたのだろう。「執行」と言う言葉につかえたり、「死刑執行を受けて」と言う時に、顔の左側だけが歪んだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン