興味深いのは、どんな名選手にも“苦手”が存在していることだ。400勝投手の金田正一氏にとっては“牛若丸”の異名を取った阪神の名遊撃手・吉田義男氏だった。金田氏はこういう。
「(167cmと小柄な)あいつがバットを持ってしゃがむんだ。ストライクゾーンなんか、ありゃせん。ワシの真っ直ぐはホップするからボールになる。カーブを投げると、吉田がそれを待っていて上手く打ちよるんじゃよ」
17年間のキャリア通算打率.267の吉田氏は、対カネやんでは.310。しかも通算66本塁打のうち8本が金田氏からだ。
「あいつは、巨人・阪神のOB戦でも甲子園のラッキーゾーンに放り込みやがったよ」(同前)
これから激しさを増すペナントレース。そうした“苦手意識”が波乱を巻き起こすか。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号