芸能

韓国のTWICEになぜ日本の女子は夢中になったのか

◆日本を目指すK-POP

 そもそも韓国音楽市場は決して大きくありません。日本レコード協会の発表によれば、2017年の音楽売上を比較すると、卸価格ベースで韓国は4億9400万ドル(約550億円)、日本は27億2700万ドル(約3000億円)。だから韓国の芸能事務所は、より大きな市場である日本での成功を夢見て、わざわざ楽曲を日本語に吹き替えたバージョンや、日本オリジナルの楽曲をレコーディングし、コンサートやメディアインタビューなどの対応に備えて日本語会話のレッスンを怠りません。「日活」(日本活動)と呼ばれるこの市場の制覇を大きな目標として掲げているほどなのです。

 実際、男性グループではドームツアーを展開するBIGBANGや東方神起、BTS(防弾少年団)やCNBLUEなどが稼ぎ頭として日本市場を席巻していますが、女子は10年前の第一期K-POPブームの頃に売れた少女時代やKARA以降、これと言った成功例がありませんでした。ですから、デビュー一年で韓国内トップとなったTWICEが日本市場突破の尖兵に挙げられるのは当然のことです。

 TWICEの日本市場での成功が予見されていたのは、単に彼女たちの勢いが凄かったからだけではありません。9人のメンバーの中には3人の日本人メンバー(モモ〈平井もも〉、ミナ〈名井南〉、サナ〈湊崎紗夏〉)が含まれており、その構成の三分の一が既にジャパニーズグループであるという有利な条件があったからです。特にメインダンサーを務めるモモの切れ味鋭いダンスは、修練度の高いK-POPグループの中でも異彩を放つ存在感があります。また美貌が売りのサナは映画レビューサイトTC Candler制定の「2017世界で最も美しい顔100人」で21位にランクインするなど、キラキラ少女軍団9人の核として多くのファンの支持を得ていたのです。台湾出身の美形メンバー・ツウィも含めて、広くアジア各国にアピールできるメンバーを揃えたTWICEは、実はデビュー当初から日本進出を噂されるほどの国際グループでもあったわけです。

 来日時には、日本人の三人が日本語MCとして多く表に立ちます。兵庫出身のミナ、京都出身のモモ、大阪出身のサナと、三人が全員、関西出身者ということもあって、K-POPアーティストのインタビューであるにもかかわらず関西弁が飛び交う不思議な”バイリンガル”状況が展開されるのも、またTWICEの隠れた魅力の一つと言えましょう。

 さて、今後のTWICEの国内での活動ですが、今年の夏も8月1日(水)公開の映画『センセイ君主』のテーマソング『I WANT YOU BACK』を担当する事になっており、主演の竹内涼真とのコラボダンスビデオは、公開から半月で130万再生超える大注目のMVになっています。(すでに500万回も超えていますし、映画のヒットを後押ししてくれる、化け物じみた宣伝力と言えるでしょう)

 ちなみにこの曲は故マイケル・ジャクソンがかつて所属したジャクソン5の名曲のカバーで、高音部の張りや声量を求められる難曲──早い話がそうそう簡単にクリアできる曲ではありません。にもかかわらず、キュートなダンスと共に、英語原曲を見事に歌いこなしてみせるメインボーカルのジヒョ、ジョンヨンらのポテンシャルの高さは尋常なものではないと言えるでしょう。

 もしかしたら、もう既に彼女たちの視線の彼方には、現在K-POP男性グループBTSが米ビルボードアルバムチャートトップ5入りの大活躍をしているように、アメリカの市場がうっすら見え始めているのかもしれません。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン