芸能

くらもちふさこ 朝ドラ鈴愛に「漫画をやめてほしくなかった」

くらもちさんは「鈴愛が漫画家を辞めたのは残念」と語る(ドラマHPより)

 NHK連続テレビ小説『半分、青い。』で、永野芽郁(18才)演じる主人公・楡野鈴愛が師事する少女漫画家・秋風羽織(豊川悦司・56才)にはモデルがいた。それが、ドラマに登場する漫画作品『いつもポケットにショパン』、『東京のカサノバ』、『アンコールが3回』、『A-Girl』、『海の天辺』などを世に送ったくらもちふさこさんだ。画業45周年を迎えてなお、名作を生み続けているくらもちさんが、ドラマの制作秘話や少女漫画界のリアルについて語った。

 ドラマではヒロイン・鈴愛がスランプに陥り、締め切りに間に合わなくなってしまうシーンも登場。鈴愛はスランプを乗り越えられず、漫画家の道を諦めてしまうのだ。

 鈴愛と同様に、実際にスランプを経験してきたくらもちさん。鈴愛のつらい気持ちはよくわかるとした上で、スランプを乗り越えられなかった鈴愛に対して、「それでも、辞めてほしくなかった」と言う。

「同年代の作家が連載を始めているのに、自分だけオファーがない焦りは、私にもありましたし、せっかくもらった仕事も落としたりして…。それでも私が“冬の時代”を乗り越えられたのは、とにかく漫画を描き続けていたからなんです」(くらもちさん、以下「」内同)

 鈴愛が漫画家を目指していた1980~1990年代は、少女漫画の黄金時代。くらもちさんの先輩作家には、『ポーの一族』などで知られる萩尾望都さん、『スケバン刑事』の故・和田慎二さんらがおり、同年代には、『おいしい関係』の槇村さとるさん、そして少し後輩に、故・多田かおるさん、いくえみ綾さん、紡木たくさんらが続く。

「みんな、同年代なのにすごく活躍していて、自分だけ落ちこぼれのような気がしていました。仲のよい漫画家に愚痴を聞いてもらったりもしましたね」

 まさに、鈴愛と裕子(清野菜名)やボクテこと藤堂誠(志尊淳)のように、同年代の漫画家たちと切磋琢磨し、励まし合い、描き続けたのだという。

「苦しみながらも描き続けていたら、知らないうちにスランプを抜けていました。人間の体にバイオリズムがあるのと同じで、創作活動にも波があるんです。できない時は焦っても仕方がないんですね。動き続けていると少しずつ、固かった頭が柔らかくなり、狭かった視野が広がる時が来るんです」

 その後も、くらもちさんの挑戦は続く。ドラマ内で鈴愛たちが影響を受けた、『東京のカサノバ』、『アンコールが3回』、『A-Girl』、『海の天辺』で、リアル世界でも少女漫画家として不動の地位を獲得。にもかかわらず、40才で始めた連載『天然コケッコー』では、それまでの少女漫画にはない、新しいヒーロー像を確立するなど、新しい表現方法を模索した。

「どんなことでもいい。好きなものにハマることが、原動力になると思うんです」

 鈴愛も今、漫画に代わる新しい“好き”を見つけた。それをどのように生きる原動力に変えていくのか。秋風先生とその仲間たちの再演を期待しつつ、今後の展開を楽しみにしたい。

※女性セブン2018年8月9日号

関連記事

トピックス

雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン