覚悟を感じさせるのは、キャストの演技も同様。なかでも、主人公の青田アオイを演じる清原果耶さんのみずみずしい演技に胸を打たれる視聴者が多いようです。

 アオイは高校の准看護学科に通う、17歳のアルバイト看護助手。人工妊娠中絶を描いた1話では、「(手術後に泣く女性を見て)あの人の顔を見ちゃいけない気がした」「(処置をしながら)私に与えられたもう1つの仕事は、命だったかけらを集めることだった。人の形じゃないからかな。全然気持ち悪くない」「“かけらの子”たちは業者のおじさんに引き取られていく。一応供養してもらえるって聞いたけど」「この世に出てきて、『おめでとう』って言ってもらえない子がこんなにいるなんて思わなかった」などのセリフがありました。

 その後も、「ついさっき中絶手術をした同じ場所で新しい命が生まれるんだ」「命には、望まれて生まれてくるものと、人知れず消えていくものがある。輝く命と透明な命……私には、その重さはどちらも同じに思える」「(“かけらの子”が入ったビンを窓にかざして)ねえ、見える? あれが外の世界だよ。ごちゃごちゃしているけどキレイでしょ」。まだ看護師ではないアオイは患者側に近い立場であり、正直で嘘がない言葉が視聴者の心をつかんでいるのです。

 清原さん自身も、まだ16歳であり、ドラマ初出演作『あさが来た』(NHK)で演じた、ふゆの純粋なイメージがあるだけに、今作でのシビアな表情はギャップ大。つまり、純粋なイメージの10代女優を起用することで、作品のシビアさが際立っているとも言えるのです。

 清原さん本人に話を移すと、『あさが来た』への抜てき後は、『精霊の守り人』(NHK)、『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)、『母になる』(日本テレビ系)、『BORDER 衝動~検視官・比嘉ミカ~』(テレビ朝日系)、『99.9 –刑事専門弁護士-』(TBS系)などで地道に助演経験を重ね、今作での初主演につなげました。

 同年代で比較されがちな浜辺美波さんが、主演作を重ねているのとは対照的な道のりです。出演作も、浜辺さんが『咲-Saki-』(TBS系)、『賭ケグルイ』(TBS系)、映画『センセイ君主』などのアイドル女優路線であるのに対して、清原さんは笑いの要素が少ない硬派路線。「どちらがいい」ということではなく、2人とも戦略的に女優道を歩んでいる様子がうかがえますし、だから清原さんはアオイがハマっているのではないでしょうか。

◆映像の美しさと叙情的な音楽が感動を誘う

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