芸能

原田知世 朝ドラの霧を晴らす恐るべき「ロンダリング力」

役者はそれぞれの持ち味を発揮(番組公式HPより)

 実験的な作風ゆえか、評価が二分されつつある今回の朝ドラ。一方で、キャストの力を再確認できる局面もある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
「最近はやたら話が飛んでしまってついていけない」「前半は一生懸命見ていたんだけれど、この頃は主人公が嫌いになってしまった」

 NHK連続テレビ小説『半分、青い。』に対する視聴者の声。とまどいやいらだちが数多く耳に入ってきます。

 主人公の鈴愛が漫画家修業を諦め、100円ショップの店員となりスピード結婚をしたあたりから、ドラマの評判は混迷気味に。映画監督志望の涼ちゃんと出会ってすぐ結婚、出産。しかし映画への夢をめぐって二人は衝突し離婚。そして鈴愛は娘と共に田舎・岐阜へ戻るという駆け足展開に、多くの視聴者はおいてけぼりをくらっているもようです。

 それを象徴するような出来事がありました。

 朝ドラに続いて放送される番組『あさイチ』で、MC担当の博多華丸が“朝ドラ受け”。あまりに早いドラマ展開に「早い!何かと早い!カレンダーめくるの早い!」「ちょうだい、紆余曲折!」とコメント。すると「よくぞ言ってくれた」「私の気持ちも同じです」と、視聴者の間で同調意見が一気に広がりました。

 しかし、朝ドラの脚本家・北川悦吏子氏も黙っていない。「華丸さん、直接、お話したいです!!」などとTwitterで即反応し、度々ドラマの内容や展開を自ら解説。解説のみならず、「*回目の放送は神回」などの予告までしています。

 というように従来の朝ドラでは見られなかった「珍現象」が生まれていますが、私個人としては、北川氏の反論ツイートの中でも「スライスオブライフ」のフレーズは特に楽しませていただきました。

「あのですね。『半分、青い。』は急展開、ではなく、スライスオブライフなのですよ。普通、映画や舞台など、二時間程度の枠でよくやられるこの用法。これを、156回かけてやってみようとしたわけです、私」(8月5日)と、北川さんは作者としての思いを吐露。

 英語の「スライスオブライフ」というのは「人生の一コマ」「人生の断片」を意味するらしい。でも、だからといってこの「解説」で視聴者は納得する? 瞬間を描き出し、その瞬間瞬間をつないでいる、ということを言いたいのだろうけれど、ドラマとして視聴者が受け止めきれないとすれば……。それとも、脚本家のTwitter「解説」は炎上の燃料としてあえて投下されているの?……と朝ドラの評判が混迷を深めているさなか。しかし、今週はある「力」を見せつけられた、と言っていいでしょう。

 それは、「原田知世のロンダリング力」です。

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン