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現代にも通じる理論、1972年出版の『日本の長寿村・短命村』

2018.08.19 07:00

 1972年に初版が発行された『日本の長寿村・短命村』(サンロード出版)が今でも語り継がれている。著

 1972年に初版が発行された『日本の長寿村・短命村』(サンロード出版)が今でも語り継がれている。著者は、東北大学名誉教授で医学博士だった近藤正二氏(1893~1977年)。

 衛生学を専門とする近藤博士は食生活や生活習慣が寿命に与える影響に大きな関心を持ち、1935年から1971年の36年にわたり、北海道から沖縄の八重山諸島に至るまでの全国津々浦々990か所を、自らリュックを担いで訪ね歩いた。場合によっては1つの村に2か月もの間、長期滞在し、綿密に調査を行った。

 博士は「人口における70才以上の高齢者の割合(長寿率)が高い村」を《長寿村》と呼び、「若年死が多く、70才以上の高齢者が少ない村」を《短命村》と定義。「どうすれば長寿になれるか」に徹底的にスポットを当てたという点で、異色の研究だった。

 近藤博士がリュックを背負って日本中を歩いた時代と比べ、この国は大きく変化した。

 情報・物流網が張り巡らされ、山あいに住んでいても新鮮な海の幸が通販で翌日に手に入るようになったり、近くのスーパーで生産地、生産者がわかる野菜が選べたりと「食の均質化」が進んだ。

 ところが、そんな時代になっても地域ごとに食生活は少なからず特色があり、長寿・短命の地域差もある。

 厚生労働省が発表する都道府県別の平均寿命(平成27年)では、男性は上位から滋賀、長野、京都、奈良、神奈川。女性が長野、岡山、島根、滋賀、福井、という顔ぶれだ。

 男性1位、女性でも4位となった滋賀県。その長寿の秘密として挙げられるのは、やはり「食」である。

 代表的なのは、魚と大豆だ。地元特産の琵琶湖で獲れたイサザと呼ばれるハゼ科の魚と大豆を煮た「イサザ豆」という郷土料理が愛されている。

 食生活と長寿の関係に詳しいイシハラクリニック院長の石原結實医師は、こう語る。

「大豆には必須アミノ酸がバランスよく含まれ、その脂質は血中コレステロールを低下させるリノール酸やオレイン酸を含みます。その他、ビタミンB1、B2、B6、E、Kなどのほかカルシウムも豊富に含有。高脂血症を防ぎ、老化を防止するサポニンや脳の働きをよくするレシチンなど健康増進成分がバランスよく含まれています」

 さらに滋賀県では1990年代から健康推進員を配置するなどの活動を行い、野菜の摂取を勧めてきた。「野菜食べ隊支援事業」と銘打った、1日350gの野菜をとることを推奨する活動が功を奏したともいわれる。

 近藤博士が導きだした「大豆、野菜を食べる地域は長寿」という結論が、見事に当てはまっている。

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