好調の理由の一つに人気シリーズの続編という点も挙げられる。『絶対零度』は、上戸彩主演で『未解決事件特命捜査』(2010年)、『特殊犯罪潜入捜査』(2013年)と捜査班の舞台を変えながら続いてきた最高視聴率18%の人気シリーズ。今作も前シリーズを知る視聴者が取り込めるため、ある程度の視聴者数は担保できていたと言っていい。だが今作の“未然犯罪潜入捜査”は、前作まで主演だった上戸彩がサブストーリーに周り、沢村一樹へ主演をバトンタッチ。
その他の出演者も第2期の最終回のみに登場した横山裕が登場する以外は、前作と関連性はあまりないものになっている。この大幅な設定変更は前作までのファンにとっては反発を買ってしまいそうだが、この絶妙な設定変更こそがシリーズファンはもちろん、それ以外の視聴者も巻き込んだ。
テレビの視聴状況を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(eighet社)によると、寄せられた視聴者の感想からは「上戸彩の登場が待ち遠しい」(67歳男性)、「上戸彩の存在はどうなっているの?もっと詳しく!」(50歳女性)、「桜木さん(上戸)を殺さないで」(56歳女性)など、ファン視聴者にとっては前作の主人公がまさかサブストーリーにしか登場せず、しかも死亡した?という謎もあることから、より興味を引く展開となった。また「絶対零度感はないが、一ドラマとして普通に面白い」(31歳女性)、「前作とは違った面白さ。家族でハマってる」(43歳女性)といった意見もあるように、前作を中途半端に引きずらなかったことで、今シリーズを集中して楽しませる効果を生み、「前作を見ていなかったけど、ハマってしまい毎回みている」(47歳女性)など、前作を知らない視聴者も巻き込むことに成功した。
そして『絶対零度』というタイトルも、前作までは未解決事件=コールドケース=絶対零度という意味合いが強かったが、今回は殺人を犯す人物を特定し未然に食い止めるというテーマから、到達しえない温度=殺人を犯す境界線という意味も持たせ、今作があることでさらにこのシリーズの深みが増したと言っていい。
◇「ゾクゾク」、「怖い」、「刺激的」…月9らしからぬ視聴者の反応