3歳未勝利戦は午前中か午後の早い時間、1日に1レースか2レースしか組まれていない。日によってはメインレースが秋華賞や菊花賞のトライアルだったりする。同じ歳なのにこちらは地上波テレビでも中継され、1着賞金が5000万円以上。前座といってもいい3歳未勝利戦の1着賞金はその10分の1だ。
思えばサラリーマンでもそういった悲哀はあるが、差が出るのは入社して10年20年とたってからではないだろうか。彼らサラブレッドはたった1年でこれだけの差がついてしまう。それでも健気に走っている姿を見ると我が身(?)を重ね合わせて応援したくなるではないか。しかも、このスーパー未勝利、出走できるのはたった1回、レースはほぼフルゲートになり、生き残ることができるのはそのうち1着馬だけ、実力だけでなく運も必要だ。
けっして多くはないが、出遅れを克服して出世していった馬もいる。たとえば今年6月のグランプリ宝塚記念にも出走したパフォーマプロミスという馬は、オークス馬シルクプリマドンナを近親に持つ良血馬。脚元の不安からなかなか出走態勢が整わなかったが、2015年9月のスーパー未勝利でようやくデビュー、見事勝利を飾った。この後もコツコツと勝ち星を重ね、今年1月のGII日経新春杯では、早々と出世してクラシックにも出走した同期馬などを退けて重賞初制覇を飾っている。まさに大器晩成だ。
過去5年、スーパー未勝利は140レースほど行なわれているが、勝った馬は平均で7回目、最高20回目のチャレンジだった。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。
※週刊ポスト2018年9月14日号