その中には、狩野永徳、葛飾北斎、円山応挙、伊藤若冲などの絵画、「蒙古襲来絵詞」などの絵巻物、聖徳太子画像や現存最古の万葉集写本など値段がつけられない国宝級の美術品が数多くあり、うち約580件は冒頭の「御由緒物」に分類された。その他約4000件のうち、約3200件が国庫に寄贈され、残りは今上天皇が相続した。
皇室ジャーナリストの神田秀一氏が解説する。
「今上陛下の在位も30年に及び、その間にも献上品や、海外の王室などからの贈り物があったでしょう。代替わりを機に、財産が新たに国に寄付されることも考えられます」
そうした宝物を除くと、天皇が自由に使える財産の1つが、昭和天皇から相続した現金や有価証券だ。
「当時、課税遺産が約18億6900万円。今上陛下と香淳皇后が約9億円ずつを相続しました。今上陛下には相続税約4億円が課税され、残されたのは5億円ほど。その後、香淳皇后が亡くなったときにも相続が発生しましたが、2億円以下だったので額は公表されませんでした。
質素倹約は皇室の昔からの伝統であり、日々の生活は決して華美にならないように心掛けていらっしゃいます。大きく目減りしたということは考えにくいでしょう」(同前)
※週刊ポスト2018年9月21・28日号