国内

「殺しの柳川」は極真会館にとって最高の虫除けだった

戦後日韓裏面史を紐解く(アフロ)

“殺しの柳川”と称された柳川組を解散後、日韓の橋渡しに後半生を捧げた柳川次郎(梁元錫、ヤンウォンソク)が、力を入れたのがスポーツ交流だった。のちに劇画『空手バカ一代』のモデルとなりスーパースターになった、空手の極真会館館長・大山倍達とは兄弟同様のつきあいだった。ジャーナリストの竹中明洋氏が、柳川の足跡を辿った。

 * * *
 1969年か1970年のことだという。千駄ヶ谷の東京都体育館で空手の極真会館が開いた全日本選手権大会にその男が姿を現すと、役員席にいた館長の大山倍達はすぐさま駆け寄った。あまりの慌てぶりに、弟子の添野義二(現・士道館館長)は思わず「あの人は誰ですか?」と師に尋ねたほどだ。大山はすぐに言った。

「きみ、あれが殺しの柳川だよ」

 梶原一騎原作の漫画『空手バカ一代』で知られる極真会館は、伝統流派がいわゆる寸止めルールを取っていたのに対し、フルコンタクト(直接打撃)を提唱した。最盛期には全世界に1200万人もの会員を有した。その極真会館の相談役が柳川次郎である。柳川は大山との出会いについてこう語っている。

〈終戦後のいわゆるドサクサと称される時期に私と大山館長との出会いがあった。(中略)館長との初対面のことを思い出してみたのだが、どうも角突き合わせてあわやケンカ一歩手前というところまでいったのではないだろうか。しかし、何がきっかけかは忘れてしまったが、その後すっかり意気投合してしまい、以来ずっと兄弟同様のおつきあいをさせてもらっている〉(『月刊パワー空手』1982年9月号)

関連キーワード

関連記事

トピックス

永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン