◆閉鎖的な部屋制度にメスを

 いうまでもなくガバナンスの強化は必要だし、そのためには組織を改革しなければならない。問題はその中身である。では、今回浮き彫りになった相撲協会の体質を変えるために、どのような改革が行われるべきなのか。

 改革策を講じる前提として、これまで明るみに出た暴力や不祥事の多くが「部屋」という密室の中で行われたか、あるいは密室での力関係と深く関わっていることを理解しておく必要がある。その点では問題になったアマチュア・スポーツの世界と同じ前提に立っているといえる。

 したがって、何らかの形で部屋という制度にメスを入れなければならない。その一つが閉鎖的な制度の改革であり、右も左もわからない少年がいったん部屋に入ったら、たとえどんな事情があっても原則として他の部屋に移れない現状の見直しである。以前にもこのサイトで提案したように、若手力士を対象にプロ野球のようなFA制度を取り入れてはどうだろうか。

 なお、今回の貴乃花部屋消滅に際しては、所属力士が千賀ノ浦部屋へ移籍したが、貴乃花親方を慕って入門した力士を親方主導で他の部屋に移すのはいかがなものか。師弟関係を大切にしなければならないというなら、入門するときと同じように受け入れを希望する部屋と本人の希望を聞いてマッチングさせるような方法をとってもよかったのではないか。

 また密室の中で暴力や人権侵害が発生するのを防ぐためには、内部告発制度を設けるべきかもしれない。FA制度にしても内部告発制度にしても、実際にどれだけ利用されるかどうかは別にして、制度があるだけで一定の抑止力にはなるはずだ。さらに、部屋の権限と責任を明確にし、部屋の運営を透明化することも必要である。

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