密漁アワビの売り上げをキロ4000円で計算すると40億円弱にも上る。アワビだけでこれだけの額だから、“黒いダイヤ”と呼ばれるナマコや、大アサリ、秋鮭などの高級魚介類を含めれば、軽く100億円産業となるだろう。
ウナギの稚魚で“白いダイヤ”と呼ばれるシラスウナギは、その3分の2が密漁及び密流通とされる。ロシアから輸入されるカニは、水産専門誌の『マリン・ポリシー』2017年10号によると、17~25%が密漁・密流通であるという。
◆暴力団の協力が欠かせない
アワビの密漁で捕まった経験を持つ密漁団のリーダーは、三陸で密漁した時の経験をこう語る。
「密漁には地元暴力団の協力が欠かせない。そもそも大の大人が10人近くずっと旅館に泊まって、夜になると出かけていくのが怪しいですよね。だから地元のヤクザに相応の金を渡し、旅館を用意してもらいます。あと他府県ナンバーの車も怪しまれる。これも地元のヤクザから借ります」
彼のバックは山口組系だが、住吉会や稲川会とも太いパイプを持っている。密漁で築き上げた裏人脈である。だが、何も暴力団や密漁団だけが悪人というわけではない。そうと分かって仕入れる水産業者との共生関係が構築されている。