ムロさんと二朗さんが起用された背景として、もう1つ見逃せないのが、数年来続く助演俳優のフィーチャー。2013年に大ヒットした『あまちゃん』(NHK)、『半沢直樹』(TBS系)以降、中堅・ベテランの助演俳優を大量キャスティングする作品が増えました。
6人の名助演が主演を務める『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)が放送された昨年1~3月以降は、ブームではなく「助演目当てにドラマを見る」という視聴習慣が定着。「名前と顔を知っている」という助演俳優の数は一気に増え、主演同等の存在感を放つ人も少なくありません。
その点、「ムードを変え、笑いを誘う」コメディーリリーフとしての強烈なイメージがあり、知名度の高いムロさんと二朗さんは、今回の役割に打ってつけの存在。もちろんキャリアの中ではコメディ以外の作品も経験している上に、苦労を重ねた人生経験などの深みもあるなど、視聴者が考えている以上に振り幅の大きい俳優であり、タレントなのです。
『大恋愛』はジリジリと右肩上がりに視聴率を上げていますし、『99人の壁』も特番時代よりも視聴率がアップ。前述した新鮮な印象もあって、まずまずのスタートを切りました。
2人がいつもの姿を見せる『今日から俺は!!』と、コメディを封印して別人のような姿を見せる『大恋愛』『99人の壁』。今秋は両方を楽しめる初めての機会であり、そのギャップから今後も注目を集め続けるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。