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「殺しの柳川」が担った政界裏仕事

「天皇の戦争責任については、ない、とは言えない。なぜなら、当事者として戦争の名においてもそうだが、また天皇の名において、アジア地域に限っていえば、韓国人や中国の人々に対し相当ひどい行為を行わしめた責任があるからだ。しかし、終戦後、天皇がマッカーサー元帥に会った時に、太平洋戦争の責任は『すべて私の責任であり、国民には一切関係がない』と言明されたが、その言葉に自分自身として非常に共感した。

 世の多くの人間の中には何かことが起こった時点において、その責任の一端が自分の身の上にも及んできそうになればなんとかして責任回避して逃れようとする輩が多い。が、天皇がその責任を真っ正面から取り組む姿勢を取ったことは人間として立派なことだと今でもそう思っている」(『日韓友愛親善会10年小史』)

 ヤクザの親分がケジメをつけるかのような姿勢を昭和天皇に見ている。あまりに素朴に思えるが、太平洋戦争によって人生を翻弄された朝鮮半島出身者らの思いを代弁しているのではないかと私は思う。

 在日としての出自、そして任侠の道を歩んだという前半生は、時に柳川に「日本人以上に日本人らしい」姿勢を強いるときもあった。

「おっさんには日本人ですら忘れていたような日本人らしいところがあった。武士道を重んじていたのも、そのせいやろう。在日でも差別されていることを利用しているようなヤツのことは嫌いやった。在日の地位をきちんと確立したい、在日は在日でもっと胸を張って生きるべき、でも日本に迷惑をかけるなというのが、おっさんの考え方でした。当時は竹島周辺で日本の漁船が拿捕されるなんてこともありました。終戦後、日本に軍事力がなくなると途端に韓国が戦勝国だと言わんばかりにそういうことをするのには、納得できんと言うてました」

 そんなKを、「なんでお前は朝鮮人の下で働くんや」と蔑む者も少なくなかった。そのたびに「お前らよりよっぽど日本人らしいからや」と答えていたという。

◆政治家への接近

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