「こうして歌い継ぐことで、西城さんの功績を胸に刻むことができますし、地上波でもヒデキ特集をしたら間違いなく盛り上がると思います。この日に限らず、『人生、歌がある』の『トリビュートタイム』では故人の作詞家や作曲家の特集を度々している。亡くなってからも功績を称え、忘れさせないようにしている。とても大事なことです」
企画に加え、この番組では毎回、出演歌手がフルコーラスで歌う。この日は『私の代表曲』というテーマで、千昌夫『星影のワルツ』、橋幸夫『霧氷』、渡辺真知子『唇よ、熱く君を語れ』、細川たかし『北酒場』(コーラスに五木ひろし、角川博)、鳥羽一郎『兄弟船』、小林幸子『もしかして』、藤あや子『こころ酒』、香西かおり『無言坂』などが歌われた。5時間に渡る生放送の中で、ある歌手の振る舞いが素晴らしかったと岡野氏は振り返る。
「角川博です。1976年のデビュー以来、紅白歌合戦に3度出場し、42年ものキャリアを持つ大御所なのに、自分の出番以外でも積極的に番組を盛り上げています。
他の歌手が歌っている時も、常に大きな声を出す。鳥羽一郎に対しても、間奏中に『鳥羽!!』と叫んでいました。細川たかしの『北酒場』では、五木ひろしとともに後ろに陣取り、軽快にステップを踏みながらコーラスを担う。
番組の最後、美空ひばりの『川の流れのように』を全員で歌唱した時、全員分のマイクがなく、角川の元には渡らなかった。それでも、大きく口を開け、カメラが近くに来れば、カメラ目線で美空ひばりの顔マネをしていた。
昨年、『トリビュートタイム』で郷ひろみ特集の際には、本人の目の前で『マイレディー』をモノマネで歌い続けた。昔からモノマネが得意な歌手として有名でしたが、純粋な歌番組で突然始めたので、度肝を抜かれました」