ライフ

ファミレスが退潮、飲食店の「狭小化」がさらに進む事情 

新大久保で大人気のハットグ(チーズドッグ)

 先進国のなかでいま、日本は最も安く外食できる国の一つになっていると言われる。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 早いもので、気づけば今年も残りわずか──というような書き出しの原稿が増える季節がやってきた。工夫のなさにこうべを垂れつつも、物事には振り返りや総括というものも必要なわけで、2018年の「食」にまつわる事情をジャンルごとに振り返っておきたい。まず今回は「外食」から。

 まずは飲食店事情から振り返ってみたい。いま日本の飲食店はさまざまな意味で岐路に立っている。象徴的な業態がファミリーレストランだ。売上業界No.1のすかいらーく(3594億円)と続くサイゼリヤ(1483億円)という年商合計5000億超の2社の牽引もあって売上を伸ばし続けてきたが、売上や利益率に陰りが見え始めている。

 すかいらーくは客数減、サイゼリヤは為替レートの変動や天候不順による食材原価の高騰等、理由はさまざまあるが、慢性的な理由として飲食業界全体を取り巻く、「人手不足」という課題の根本的な解決策が見つかっていない。ドリンクベンダーの機械化や深夜営業の短縮といった手は打っているが、新規就労者に対するトレーニングコスト等、人手不足に伴う人件費の増大は避けられない。

 現在、好調の回転寿司チェーンは調理の機械化によって、人件費の圧縮に成功しているが、回転寿司は機械化にもっとも適した業態であって、他の飲食業態にすぐに展開できるわけではない。「外食元年」と言われる1970年からまだ50年足らず。経費の構造から見ても、日本の外食産業の単価はいびつであり、だからこそ「ブラック」などと言われる働き方が露見してしまう。

 極論を言えば飲食店の客単価が上がらない限り(正確に言うと、客単価上昇を客が受け入れない限り)、日本の飲食産業の未来は見えてこない。もっとも、各ファミリーレストランとも、客単価の引き上げなどには、一定の成果が見られる。ここに一筋の光明が見いだせるか。

 一方、個人店はというと、繁盛店についてはかつてないほどの活況を呈していると言っていい。昨年一気に可視化された「飲食店の狭小化」は今年も絶賛継続中。5~10坪程度の広さで、スナックなど長く営業した店の居抜きに個人店が入るケースは相変わらず多い。

 とりわけ今年の傾向としては、狭小化がさらに進み、狭小テイクアウト店が増えたこと。都市圏におけるケバブ店や新大久保の「ハットグ(ソーセージの代わりに大量のチーズが入った韓国版アメリカンドッグのようなもの)」はみるみるうちに増殖。極端なケースでは渋谷に開店した「レモンライス東京」のような1坪店舗も登場。業態とメニューの絞り込みで、存在感を示している。

 狭小物件の人気の理由も「人手」だ。名店や海外で経験を積んだシェフが一人、もしくは夫婦等少人数で切り盛りする個人(家族)経営であれば、限りなく人件費は圧縮できる。そうして経営を軌道に乗せ、単価の高いメニューを導入していく。実際、長く人気となっている個人店にはそうした経緯を歩んできた店も多い。もちろん単純な「値上げ」ではなく、いい食材を仕入れ、技術や手数のかかる料理を提供する。そうして客の胃袋をつかみながら評価と単価を上げていく。どんな業界でもロードマップはさして変わらない。

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された(知人提供)
《水戸市ネイリスト刺殺》「ぞろぞろ警察がきて朝から晩まで…」元交際相手の大内拓実容疑者(28)“逮捕前夜” 近隣住民の知人は「ヤンチャな子が集まってた」と証言
NEWSポストセブン
フリースタイルスキー界のスター、アイリーン・グー選手(時事通信フォト)
〈完璧すぎる…〉雪の女王が「ビキニ一枚写真投稿」で話題に 22歳の谷愛凌選手、ミラノ冬季五輪へ スキー×学業×モデル“三刀流”の現在地
NEWSポストセブン
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
NEWSポストセブン
歌舞伎役者・中村鶴松(本名・清水大希)容疑者
《歌舞伎・中村鶴松が泥酔トイレ蹴りで逮捕》「うちじゃないです」問題起きたケバブ店も口をつぐんで…関係者が明かす“中村屋と浅草”ならではの事情
NEWSポストセブン
ブルックリン・ベッカムと、妻のニコラ・ペルツ(Instagramより)
《ベッカム家に泥沼お家騒動》長男ブルックリンが父母に絶縁宣言「一生忘れられない屈辱的な記憶」は結婚式で実母ヴィクトリアとの“強制ファーストダンス”、新婦は号泣
NEWSポストセブン
初場所初日を迎え、あいさつする日本相撲協会の八角理事長(2026年1月11日、時事通信フォト)
土俵が大荒れのなか相撲協会理事選は「無投票」へ 最大派閥・出羽海一門で元横綱・元大関が多数いるなか「最後のひとり」が元小結の尾上親方に決まった理由
NEWSポストセブン
。一般人を巻き込んだ過激な企画で知られるイギリス出身のインフルエンサーのボニー・ブルー(Instagramより)
「行為を終える前に準備」「ゴー、ゴー、ゴーです」金髪美女インフルエンサー(26)“12時間で1000人以上”を記録した“超スピード勝負な乱倫パーティー”の実態
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン