──年上の監督の方が、チャレンジャー精神に火が付きますか?

西谷監督:勝ちやすいのではなく、向かっていくことが出来ます。特に、私が高校時代に采配をしていた大監督には、「当たって砕けろの精神」で勝負できます。一方で、年下の監督は負けることが出来ない気持ちになります。

──ご自身が節目の50歳になられることは意識されますか。

西谷監督:まだ、引退のような先のことを考えたことはありません。その場、その場を必死にこなしているだけです。春夏連覇しても、すぐに秋季大会、そして春季大会を迎えるので、その余韻に浸っている暇はないです。ただ今までは考えたことが無かったのですが、50歳になるいまだからこそ、これからどうするかを考えなければいけないと思っています。

──平成が終わり、新しい元号の年になりますが、今後の目標は?

西谷監督:毎日、しっかり子供たちと向き合い、大阪桐蔭に進学して良かったと思ってもらいたいです。その中で勝ちたいですし、OBたちには活躍して、いつまでも刺激を与える選手でいて欲しいと思っています。その中で、勝つことは分かりやすい目標の一つです。私は、全部勝ちたいと思って、戦っています。だからこそ、私には余裕は全くないのです。

【PROFILE】
◯西谷浩一(にしたに・こういち)/1969年9月12日、兵庫県出身。現役時代は捕手で報徳学園高から関西大。卒業後は大阪桐蔭高コーチを経て1998年秋に同高監督に就任し、一度コーチに退いた後、2004年から再び監督として指揮を執る。甲子園春夏の通算成績は16回の出場で、55勝9敗。昨夏の甲子園で春夏通算7度目の全国制覇で歴代最多優勝監督となり、史上初の2度目の春夏連覇も達成した。教え子に中村剛也(埼玉西武ライオンズ)、中田翔(北海道日本ハムファイターズ)、藤浪晋太郎(阪神タイガース)などを輩出し、昨年は根尾昴(中日ドラゴンズ)や藤原恭大(千葉ロッテマリーンズ)など4人のプロ野球選手を誕生させた。社会科教論。

◯古内義明(ふるうち・よしあき)/1968年7月7日生まれ。立教大学法学部卒、同時に体育会野球部出身。高校・大学球児向け「サムライベースボール」発行人として、これまで数百校の高校を取材し、アマチュア関係者と独自の人脈を構築。近著に、『4千分の1の名将 新・高校野球学【関西編】』(大和書房)がある。(株)マスターズスポーツマネジメント代表取締役、テレビやラジオで高校野球からメジャーリーグまで多角的に分析する情報発信。立教大学では、「スポーツビジネス論~メジャーの1兆円ビジネス」の教鞭を執る。

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