朝日新聞はその後、日本軍による慰安婦強制連行説の根拠になった虚偽の吉田清治証言でも非難されたが、しかし慰安婦問題は朝日新聞の“活躍”がなくても、韓国にとっては格好の反日テーマであり大きな日韓問題になったと思う。それは「民主化による過去否定」と「女性と人権の時代」という韓国側の事情があったからだ。
この流れは今も続いていて、文在寅政権といういわゆる民主化の申し子の再登場によって社会的にはいっそう高潮しているようにみえる。慰安婦合意の無視、徴用工判決、自衛艦旭日旗拒否、「独島」ナショナリズムの扇動…などすべてその流れだ。韓国の民主化は国家的観点の後退とNGO全盛となって、ポピュリズムを生んでいる。
盧泰愚政権の後、本格的な民主化ブームとなり、金泳三政権(1993─1998年)下では、それまで棚上げされていた「独島」に関し埠頭建設という大きな現状変更を強行した。中国まで引き込んで「歴史の正しい立て直し」なる反日キャンペーンも展開している。
次の金大中政権(1998─2003年)は最近、小渕・金大中共同宣言や日本大衆文化解禁など日本に理解があったと評価が高いが、最後は国内の“反日歴史ポピュリズム”に押され、日本の検定教科書に修正を要求する愚を犯している。
その後、初の解放後世代の盧武鉉政権(2003─2008年)は、対米姿勢と同じく日本に対しても豪気(!)を発揮し、国民の「独島」往来を自由化・観光化して反日愛国ナショナリズムを盛り上げ、「対日外交戦争」まで宣言している。
10年ぶりに保守の政権奪還となった次の李明博政権(2008─13年)は、対日外交立て直しが期待されたが最後に反日ポピュリズムに足をすくわれた。日本生まれ、財閥経営者出身、ビジネス思考……などから終始つきまとった“親日イメージ”を払拭し、愛国者として歴史に名を残すため初の「独島上陸」を敢行した。「天皇謝罪要求」まで言い出し日韓関係は一気に悪化した。
次の朴槿恵政権(2013─2017年)は朴正熙の娘として、対日関係改善が嘱望されたが、逆に「父のイメージ」を脱したいという脅迫観念があって、対日姿勢は硬直してしまった。後に慰安婦合意にこぎつけたが、手遅れだった。最後は「朴正熙時代」への復讐に燃える民主化勢力を称する左翼・親北・反日勢力のロウソク・デモによって、父の身代わりとして断罪・追放された。