国内

なぜヤクザは日本国憲法を熟読するのか? 裁判も自力で勝つ

ヤクザにとって憲法は”最強の武器”(時事通信フォト)

「憲法改正を含め、新たな国づくりに挑戦する1年にしていきたい」と意欲を語った安倍晋三首相は知らないだろう。ヤクザが政治家より憲法を熟知していることを。違法と合法のボーダーラインを行き来する彼らほど、法律に敏感な存在はいない。ヤクザを通してみれば、国家にとって、国民にとって憲法とは何かが、逆説的に見えてくる。長年、ヤクザを取材してきたジャーナリストの溝口敦氏と、フリーライターの鈴木智彦氏が、ヤクザと憲法との関わりについて語り合った。

◆六法全書が座右の書

鈴木:3年前に公開された『ヤクザと憲法』という東海テレビ制作のドキュメンタリー映画は、憲法が定める「法の下の平等」(第14条)にヤクザは含まれるのかという問題を提起して話題になりましたが、六代目山口組の司忍組長は暴排条例が施行された当時(2011年)、〈今回の条例は法の下の平等を無視し、法を犯してなくても当局が反社会的勢力だと認定した者には制裁を科すという一種の身分政策だ〉(産経新聞のインタビュー)と映画と同様のことを訴えていました。憲法や法律を熟知した組長ってけっこう多いんですよね。

溝口:四代目山口組の竹中正久組長がその典型でした。一般の人が「裁判にかけられる」と考えるのに対し、彼は「裁判を受ける権利」(第32条)と言っていた。憲法の理念を正確に把握していたんです。家にいるときは常に六法全書を座右に置いていたといいます。竹中正久は、組員が警察にボディチェックされた際も、「警職法に基づいて裁判所から身体検査令状をもらってないのに警官がボディチェックすることは許されていない」と抗議しました。

鈴木:ヤクザが法律に詳しいのは、何をしたら捕まるか捕まらないかというのをはっきり認識しておかないと、「違法だから逮捕する」と警察に言われた時に戦えないからです。サラリーマンが仕事のマニュアルを勉強するのと同じノリで法律を勉強している。

溝口:逮捕されると拘置所や刑務所で時間があるから、その間に法律書を読みふけって勉強して、弁護士に頼らないで警察と直接戦おうとする組長も多い。竹中正久の弟の竹中武(二代目竹中組組長)は、刑事事件における裁判有罪率99.9%といわれた日本において、ほとんど自力で無罪を勝ち取りました。

鈴木:あれは凄いですよね。

関連記事

トピックス

オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
2020年、阪神の新人入団発表会
阪神の快進撃支える「2020年の神ドラフト」のメンバーたち コロナ禍で情報が少ないなかでの指名戦略が奏功 矢野燿大監督のもとで獲得した選手が主力に固まる
NEWSポストセブン
ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン