溝口:面白いのが、暴対法にある「暴力団」と呼ばれるのは構わないけど、「反社とは呼ばれたくない」というヤクザが多い。渡辺五代目は「暴力団という名付けは結構だ。なぜなら我々は暴力を基本としているから」と言っていた。ただし、社会の役に立ちたい気持ちはあるから、反社という名は受け入れがたいと。
鈴木:あと、「表現の自由」(第21条)という言葉にヤクザは弱いんですよね。結社の自由と並記されているからか、書いたものに文句言ってきたときに「表現の自由です」って言うと尊重してくれる(笑い)。
溝口:法的に曖昧な存在だからこそ、それに対する意識が高いんでしょうね。
●すずき・ともひこ/1966年北海道札幌生まれ。『実話時代』の編集を経てフリージャーナリストへ。『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(文春新書)など著書多数。近著『サカナとヤクザ』(小学館)が話題。
●みぞぐち・あつし/1942年東京浅草生まれ。早稲田大学政経学部卒。『食肉の帝王』で講談社ノンフィクション大賞を受賞。『暴力団』『続・暴力団』(ともに新潮社)、『山口組三国志 織田絆誠という男』(講談社+α文庫)など著書多数。
※週刊ポスト2019年1月18・25日号