ジャーナリストの溝口敦氏

鈴木:こんなものがシノギに、っていうのが今後はますます増えそうです。俺が取材していたウナギやナマコの密漁もそうですが、最近ではカワウソがペットとして人気で、東南アジアから密輸することがシノギになっているらしいですからね。

溝口:ヤクザは“誰でも獲っていいよ”というものを獲るわけではなく、絶滅危惧種のような希少価値のものを獲って、より多額を稼ぐ。公共性の考えが飛ぶわけです。

鈴木:皮肉なことに、警察がヤクザを取り締まることで、シノギがより地下に潜って、見えなくなってしまったわけです。個人でやっていた会社を親族がやったり仲のいいカタギがやったり。実質的には暴力団の企業でも、登記を調べても出てこない。ますます実態が分からなくなってしまった。

溝口:仮想通貨なんかが典型で、警察が手を突っ込みにくい事業はやりやすい。ビットコインに続いてリップルやNEMといった仮想通貨が暴落しましたが、取引所を経由しない「相対取引」などで破綻を防いだ反社がいる。

鈴木:この前、仮想通貨を使ってヤクザたちから40億円を集めてトンズラしようとしたやつが、追っかけられる現場を取材したんですよ。面白いのは、その取り立てをやるのがヤクザと繋がっている半グレの不良連中なんですよね。昔なら絶対ヤクザが取り立てていたのに、今はどんな理由であれ「暴力団が悪い」となって逮捕されてしまうから。

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