──ビームサントリーの今後の課題は何でしょう。
新浪:日米で共同開発したウイスキーもこの3月に米国で発売できましたし、4月からはビームサントリーで新社長が誕生します。借入金もこの4年間で約5000億円減らすことができました。一層、グローバル展開を強化するのが第一ですね。
我々は日米欧の市場では強いんですが、世界最大の蒸溜酒消費国であるインド、そして中国と人口の多い国で弱かった。こうした大きなマーケットに進出していくことで真のグローバル企業になる。市場として潜在力があるアフリカ地域でも、ビームサントリーとしての拠点やプレゼンスを作っていかないといけない。
蒸溜酒分野では、英国のディアジオ、フランスのペルノ・リカールという巨人がいますし、飲料分野でも米国の巨人コカ・コーラ、そしてペプシがいます。
サントリーとして、いかに彼らに迫っていくか。規模だけではなく、サントリーが上質でプレミアムなブランドだと世界中に知っていただくことも大事です。酒類や飲料、あるいは健康食品など事業の垣根を越え、あるいは国の垣根も越えて、ワンファミリーの“サントリアン”として取り組んでいきたい。
【PROFILE】にいなみ・たけし/1959年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1981年に三菱商事入社。1991年ハーバード・ビジネススクール修了(MBA取得)。2002年ローソン社長、2014年会長。2014年10月にサントリーHD社長就任。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):かわの・けいすけ/1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2019年4月5日号