藤:それぞれになんとなく投影されていますね。松原さんもちょっと浮き世離れしているというか。時々そういうところがありますからね(笑い)。
松原:人物=役者というか、めぐみを通して「松原智恵子ってこんな感じの人だったんだ」なんて雰囲気を物語と一緒に楽しんでいただけたらと思います。
藤:僕は今回、秀次役と、『道』の登場人物の2役を演じます。『道』のほうは山男のようですが、まだあまり台本を読んでいないんですよ。なにしろ量が多くて、積み上げるとこのくらいになりますかね?(床から1メートル以上の高さに手を上げて)
松原:そう! あまりにすごくて、台本用のラックを買いましたもの(笑い)。
藤:放送が1年間と長くて物語も膨大なので、読むとかえって1年が長く感じちゃって。記者会見でも皆さん、台本の厚さと台詞の量に触れていましたが、秀次も寡黙なようで“女性の皺は美しい”などとスイッチが入ると急に何ページにもわたる長台詞をガーッとしゃべり出す(苦笑)。
でもね、これがこの作品の魅力なんです。「やすらぎの郷」の皆は人が聞いていようといまいと言いたいことを言う。溜めない。これってすごく大事じゃないかと。人生の終わりでもっと立派にならなくちゃ、引退して威厳を持たなければ、なんてカッコつけず、歳を重ねることはもっと自由でいいと思う。「言いたい放題でどうしようもないなぁ」なんて愛されるじいさん、ばあさんになったらいいんじゃないのかな。