芸能

『なつぞら』 広瀬すずの演技を見る前に満足させられた台詞

『なつぞら』共演者たちと

 朝ドラは長丁場だが、やはり最初は肝心だ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 いよいよNHK連続テレビ小説『なつぞら』がスタートしました。100作目にあたる朝ドラ、その世界観はいかに? 物語の滑り出しを見る限り、前作がクリアできなかった課題を軽々と超えそうな気配。その理由を3つ挙げてみると──。

【1】スタート時点で際立つ「俯瞰力」

 第1話、第2話の冒頭に象徴的だったのが、主人公・奥原なつを演じる広瀬すずの登場の仕方でした。草原、日高山脈、牧場を見下ろす丘。少女はキャンバスに絵を描いている。この少女が成長していずれアニメーターになる、ということが短い時間の中で示されました。つまり、「誰の」「いかなる物語か」という全体像を、しっかりとピン止めしたわけです。

 しかも第1話、第2話、二度にわたって広瀬すずが登場し全体を俯瞰し、物語の核心を予感させるという独特なパターンが繰り返されました。

 そして時を遡り、幼少期のなつの物語へ。東京大空襲で焼け出され戦災孤児となったなつは、北海道・十勝の酪農家・柴田家へと一人引き取られる……。

 これまでの朝ドラにも冒頭の一週間程、子役が出てきて主人公の幼少期を演じるパターンはありました。しかし、深く考えることなく幼少期から始まり順繰りに時を追っていくスタイルと、今回の構成とは明らかに違います。

 成長した主人公がまず全体を見渡す。そこを起点とした時間軸がわかり場面が移動していく。しっかりとした「構成図」「設計図」があるからこそ、こうした俯瞰ができる。だから今後半年間という長丁場も、ちょっとした思いつきのように恋愛エピソードを挿入したり、同じエピソードをずるずる使い回す、といったことにはならないはずです。

 特に今回は、稀代の名作朝ドラ『てるてる家族』を書いた大森寿美男さんが脚本を担当するだけに、時代を投影し生活をいきいきと描き出し、しかも物語を大胆に展開していく力に期待がふくらみます。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン