◆「退位」から「即位」までの約17時間は“空位”なのか
退位礼正殿の儀を終えてから、剣璽等承継の儀を行うまでに、約17時間の空白の時間がある。それによって、天皇不在の“空位”が生まれることになるのか。
「退位特例法の条文に『退位し、皇嗣が、直ちに即位するものとする』と書かれています。皇嗣とは即ち、皇太子殿下を指します。その通り、退位と即位の日付が違っていても、陛下が退位された瞬間に、次の天皇が即位されるため、空位は生じません。
昭和から平成に変わる時も同様でした。剣璽等承継の儀が行われたのは、昭和天皇が崩御されて3時間半後の朝10時でした。あくまで儀式は、譲位の事実を世に示すためのものなのです」(高森さん)
歴史をひもとくと、意外にも、空位はたびたび前例があった。
「『大化の改新』を進めた中大兄皇子は、先代の斉明天皇が亡くなられても、約6年半の間即位しないまま政務を執りました。
明治以降、上皇が存在することによる弊害や、天皇の自由意思で退位されては困るといった理由から、生前退位は排除されるようになりましたが、歴代の天皇で生前退位した例も、63代にのぼります」(高森さん)
長い歴史で見ると、生前退位もごく普通の皇位継承の形だったようだ。
今回の御代がわりでは、元号が切り替わるタイミングもあり、便宜上、「5月1日午前0時に新天皇即位」とする立場もある。また、「大嘗祭を終えて初めて、正式な新天皇の即位といえる」(神道関係者)という考え方もある。
現存する世界最古の王室である「日本の皇室」の1200年の歴史においては、数時間のタイムラグなど大きな問題ではないのかもしれない。
※女性セブン2019年4月18日号