女子トイレの盗撮となると、もはや枚挙に暇がないほどだ。昨年8月25日にはソウル大学の女子トイレに隠しカメラを設置したとして、男子高校生が逮捕された。女子トイレに隠れていたところを女性に発見されたため発覚したが、彼の携帯電話からは何枚かの盗撮写真が確認されたという。

 昨年9月には、ソウル市江南区三成洞の女子トイレに隠しカメラを設置した容疑で男が逮捕された。トイレットペーパーの芯の中に小型カメラを入れて棚の上に載せ、それをトイレットペーパーの山で覆うという手口だったが、それがあまりに不自然に見えたので、あえなく発覚と相成った。残念なことに、犯人は近くに住む日本人会社員だった。

 そのほか、今年に入っても仁川警察署の幹部が市内雑居ビルの女子トイレで撮影を行っているのが見つかって通報されたり、軍事境界線のあるパジュ市では飲み屋の女子トイレで盗撮した陸軍兵士が摘発されたりしている。

隠しカメラがないか女性用トイレを捜索する韓国の女性警察官(EPA=時事)

 こうした状況の中、もはや公共トイレに入れないという女性たちが急増。ある20代の女性はこう嘆息する。

「外出先ではなるべくトイレを使わないようにしていますが、どうしても行かざるを得ない場合、隠しカメラがあるかどうかを徹底的にチェックします。たとえ見つからなくても、本当にカメラが置かれていないのかどうか、自信がありません」

 自治体や交通機関も対応に追われている。今年の旧正月の連休前には、隠しカメラの有無を確かめるため、全国の公共トイレの一斉点検が行われた。韓国中西部の大田市では、地下鉄の駅構内にあるトイレを、カメラ探知機を使い1日2回、点検しているという。

 韓国で隠しカメラの問題が事あるごとに取り沙汰されるようになったのは、2年前の2017年春頃からだ。その前、数年間に隠しカメラの市場規模が急拡大し、性犯罪に利用される懸念が市民団体などから表明された。それが今や国を挙げての大騒動になっている。

 恐らくは想像できないほど多くの隠しカメラが、プライベート空間に設置されているのだろう。韓国を訪れる日本人旅行者も、ホテルやトイレでは注意したほうがよさそうだ。

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