◆ただし、為替リスクには注意
第3のメリットは「ほったらかし」でよいこと。満期時に受け取る金額が決まっている米国ゼロクーポン債は「この先、増えるかどうか」と気を揉む必要がない。
「手間を考えると、1年に1回、誕生日など自分が覚えやすい日に買うようにすればいいでしょう。満期に受け取る金額を1000~1万ドルとすれば、満期30年近くのものの購入価格は5.5万~55万円弱(1ドル=111円換算)。
それをたとえば、現在35才の人が20年間継続すれば、約30年後の65才から85才まで毎年、満期を迎えた金額を受け取ることができ、その間はほったらかしで済みます」(杉山さん)
現在の為替で換算すると、1万ドルは約111万円、1か月あたり約9万円が受け取れる計算になる(税金は考慮せず)。国民年金の平均受給額は月5.5万円なので、「じぶん年金」作りには最適だ。
何より、イデコやつみたてNISAのように、運用商品を選ぶ手間もかからない。米国ゼロクーポン債を年1回、淡々と買い続けていけばよいのも魅力の1つといえる。
ただ、将来受け取る元本が確定しているのはあくまで米ドル建てで、どうしても「為替」リスクがつきまとう。満期を迎えた時の為替が購入時より「円安」になれば、最終的に受け取るお金は増える半面、大幅な「円高」になれば、元本が目減りする可能性もありえる。「円安=得」「円高=損」のリスクに晒されているのだ。
もっとも、為替が変動する要因はさまざまだが、最終的には、為替は「国力」が反映される。人口減少や少子高齢化など国力を低下させる要因がいくつもある日本が、今以上に強くなるとは考えにくく、「長期的には円安に向かう可能性が高い」とみる専門家が多い。
「多くの日本人が資産のほとんどを日本円だけで持っていますが、それが今後のリスクにつながることを認識してほしい。資産の一部を米ドルに振り向けておくことはリスク分散につながるのです」(杉山さん)
では、どう始めるのか。まず米国債を取り扱う証券会社に口座を開設する。「安心感を求めるなら、やはり野村證券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券などの大手証券がよい」と杉山さんは言う。
日本円の口座とドルを置く外貨口座の2つを開設後、日本円を送金し、ドルを購入。そのうえで希望する米国債の種類と購入金額を証券会社に電話で伝えるだけで完了だ。イデコやつみたてNISAと組み合わせての検討もアリだろう。
※女性セブン2019年5月2日号