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谷亮子を48キロ級の女王に育てた「悲劇のライバル」

アテネ五輪金メダルの瞬間(REUTERS/AFLO)

 人気漫画『YAWARA!』にちなんで、一部マスコミから「ヤワラちゃん」と呼ばれ始めた田村亮子(当時)は、その後、国民的な人気者となり勝負強さで日本中の期待を背負い、元プロ野球選手の谷佳知氏と結婚して谷亮子となっても、そして出産を経て母親となっても長きにわたり日本柔道の女王として君臨した。バルセロナ五輪柔道52キロ級銀メダリストで日本女子体育大教授の溝口紀子氏が、「48キロ級の女王」谷亮子を生んだ「悲劇のライバル」の存在について語る。

 * * *
 中3だった田村亮子選手が優勝し、一躍話題となった1990年の福岡国際大会。私も52キロ級で優勝したので当時のことは鮮烈に覚えています。

 48キロ級女王として君臨していた英国のブリックスを準決勝で秒殺し、決勝でも前年チャンピオンの中国の李愛月を内股すかしで1本勝ち。階級が違ってよかったと思いました(笑い)。

 その後、田村選手は48キロ級の女王として君臨していくのですが、その裏にはあるライバルがいました。私と同じ埼玉大の後輩で、得意の足技を武器に天才と呼ばれた長井淳子選手です。

 大会では必ず決勝で、田村選手を投げるなど素晴らしい試合をする。でも結果は決まって僅差で田村選手が勝つ。10回対戦してすべて田村選手の僅差勝ち。そのため長井選手は田村選手の陰に隠れて五輪代表になることができず、「悲劇のヒロイン」になりました。

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