国内

村上春樹が父親との確執を告白、いつか来る死を意識か

父との確執を告白した村上春樹(共同通信社)

《僕が若いうちに結婚して仕事を始めるようになってからは、父との関係はすっかり疎遠になってしまった。特に僕が職業作家になってからは、いろいろとややこしいことが持ち上がり、関係はより屈折したものとなり、最後には絶縁に近い状態となった》

 現在発売中の『文藝春秋』(6月号)で、村上春樹さん(70才)が、20年近く実父と絶縁関係にあったことを明かしている。父親についてここまで赤裸々に綴るのは初めてのことだ。“世界の村上”のニュースは瞬く間に広がった。朝日新聞ほか、中国のメディアまでが取り上げる事態となった。

 父の死から11年──村上さんがなぜ今、自身のルーツに触れたのか。文芸評論家の鴻巣友季子さんは「年を重ね、いつか来る死を意識するようになったのかもしれません」と指摘する。

「これからどれくらい物書きとして書いていけるかを考える年齢になったのでしょう。蔵書の整理も始めているようですし、老い先について考え始めたことはひとつあると思います」(鴻巣さん・以下同)

 村上さんの父親は京都の寺に次男として生まれた。20才で兵役へ。中国での戦いに参加した。帰国後は大学院に進んだが、村上さんが誕生したこともあり、生活費を得るために国語教師として生計を立てていたというが、村上さんが作家になってから20年以上顔を合わせなかったという。

 父親が90才で2008年に亡くなる少し前、村上さんは入院先を見舞った。

《そこで父と僕は──彼の人生の最期の、ほんの短い期間ではあったけれど──ぎこちない会話を交わし、和解のようなことをおこなった》

 およそ20ページにわたるエッセーの大半を、村上さんは父親の戦争体験に割いている。村上さんは幼い頃、父から《自分の属していた部隊が、捕虜にした中国兵を処刑したことがある》と打ち明けられたという。

 しかし、父親の人生を検証する過程で、1937年の中国での南京戦に参加していたという記憶は誤解だったことが明らかになり、《ひとつ重しが取れたような感覚があった》と記している。

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン