各社の最新車種を乗り比べてきた、ドライビングインストラクターの赤城宏太郎氏がこう話す。
「車間距離を測る機器として、これまではレーダーかカメラのどちらかを搭載するのが普通でした。しかし、レーダーは悪天候に強い代わりに障害物の種類を見分けられない。カメラは白線も見分けられるが雨や雪だと性能が落ちてしまう。そこで近年は、その両方を搭載することで安全性能を高めた車種が増えている。1位の『カローラスポーツ』がそれにあたります」
それらが備えられていれば、東京・池袋で親子2人が死亡した事故や滋賀・大津で保育園児ら16人が死傷した事故は防げたのだろうか。モータージャーナリストの中尾真二氏が指摘する。
「(87歳男性による)池袋の事故はアクセルとブレーキの踏み間違いが原因とされていますが、各社の『踏み間違い防止機能』はあくまで“停止時にアクセルを急に踏み込んだ場合を想定したもの”で、池袋の事故のような“走行中の踏み間違い”では作動しなかった可能性が高い」
保育園児が死傷した滋賀県・大津市の事故はどうか。
「右折車に弾かれる形で瞬時に縁石に乗り上げた事故ですから、自動ブレーキがレーダー式でもカメラ式でも、障害物が突然視野に入るのに対応できなかったのではないか。停止できないまでも、ある程度減速できた可能性はありますが、衝突回避は難しかったのではないかと予想されます」(同前)
現段階では、「どの機能もあくまで『ドライバーの運転を妨げない』ように作られている」(前出・赤城氏)という。日々進化を続ける性能と、各メーカーの取り組みを引き続き注視していくとともに、最終的にはドライバーの運転能力や判断力が問われることを認識しなければならない。
※週刊ポスト2019年6月7日号