川井氏は「暴力団関係者を座らせたことは事実。ただ、一緒に連れてきたら“あかん”と言えますが、体育館の中でたまたま会っただけのことなんです」と、あくまで偶然という主張を繰り返した。
A氏にも取材を申し込んだところ、いったんは「会って話す」としたものの、その後、「都合がつかなくなった」と連絡があり、話を聞くことはできなかった。
何よりも問題は協会の対応である。東西会側の説明では、協会も事実関係を把握していることになる。にもかかわらず、5月30日に開かれた夏場所後の理事会を経ても、この「維持員席問題」については何の発表もない。
発表がないのは、「北の湖の後援会幹部A氏」という超大物タニマチを守るためなのか。東西会関係者は、「事情はもう少し複雑ではないか」と話す。
「八角体制になってから、北の湖時代に重用された者が次々と協会を追われている。北の湖が将来の理事長に推した貴乃花も退職に追い込まれた。協会としては、公表すると騒ぎになるからそれは避けた上で、内部ではA氏の責任を追及し、その影響力を削ぐ狙いがあるのではないか」
もちろん、そんなご都合主義の対応で許される話ではないだろう。
「A氏が館内で偶然会ったのは本当で、升席のチケットを手配した親方が別にいるという話もある。協会はきちんと調査して公表し、再発防止策などを講じなければならないはずだ」(同前)