暴力団との関わりについての会見で、記者に囲まれ、頭を下げる松ケ根親方。(2010年7月、時事通信フォト)

「1937年に発足した東西会には維持員席が90席割り当てられているが、入会には会員2名の推薦が必要で、欠員が出ないと入れない。関西財界では一つのステータスになっています。割り当てられるチケットは原則として本人が座るものだが、維持員の責任で自分以外の人を座らせることもできる」(協会関係者)

 専用のチケットにあたる「維持員券」の裏側には、禁止事項として〈暴力団員、その他反社会勢力団体、構成員又はその関係者の利用〉とあり、ルールに反した場合は〈退場または退会処分となる場合があります〉と明記されている。

「今回の問題が関係者の間で大騒ぎになっているのは、渡辺二郎を席に招き入れた維持員が、北の湖・元理事長(故人)の後援会を幹部として支えていた超大物維持員のA氏だからです。東西会の最高幹部でもあり、北の湖理事長時代には協会に大きな貢献があったとして、無料での入場が認められる『木戸御免』などの特別待遇を贈られている人物。

 そのA氏が渡辺二郎を維持員席に座らせたということで、“今までの特別待遇を返上させられた”“協会が厳しい処分に乗り出す”といった情報が錯綜しているのです」(同前)

◆NHK中継に映り込む

「維持員席とヤクザ」の問題に協会関係者が敏感になるのには理由がある。

 2010年から2011年にかけて、角界のスキャンダルが連続して発覚した。暴力団が胴元となる野球賭博への力士の関与、その捜査過程で明らかになった八百長問題、それらに加えて問題となったのが「暴力団の維持員席での観戦」だった。

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