芸能

芸人の「事務所公認闇営業」と仲介者が揺れる「悪魔の囁き」

吉本芸人が参加した振り込め詐欺グループの忘年会

 芸人らによる「闇営業」騒動は、雨上がり決死隊・宮迫博之が100万円をもらっていた、という証言も出てきて、「もらっていない」という説明との食い違いが出てきた。闇営業自体は事務所からすれば由々しき事態ではあるものの、時に「事務所公認闇営業」もあると編集者の中川淳一郎氏は述べる。同氏はこれまで芸人と多くの仕事をしてきた。通常の芸人との仕事の流れと、「事務所公認闇営業」について解説する。

 * * *
 私が仕事をお願いした芸能人で圧倒的に多いのは芸人です。何しろ彼らは下積み時代が長いことも影響するのか、驚くほど仕事に真面目に取り組んでくれますし、過剰ともいえるサービス精神を発揮してくれます。

 以前、芸人のギャグがいかに誕生したか、という連載の担当をしていたのですが、思い出深いのは、おさる(現モンキッキー)さんに話を聞いた時のことです。

「すんまそん」というギャグなのですが、元々交際していた外国人女性が「すいません(すんません)」を「すんまそん」と言っていたので面白がって使っていたらギャグになった、という話でした。彼女と別れることになった時におさるさんは彼女に「『すんまそん』もあなたに返そうか?」と聞いたら「あれはもうあなたの言葉だからそのまま使って」と言われた話です。

 あとは、カンニングの取材をしたのですが、中島忠幸さんが当時惣菜店の仕事があったため、取材に遅刻したんですよ。事情は分かっていたので、竹山隆範さんから先に話を聞いていたのですが、竹山さんは常に時計を気にしている。「気にしないでいいですよ」と言うのに、竹山さんは「本当に遅れて申し訳ありません」と恐縮しきり。中島さんが20分遅れぐらいでやってきた時は「こら、中島、ちゃんと謝れよ、遅れてさぁ。こうして取材をしてもらっているのに」と言い、我々は「そんな、気にしないでください」と返すしかありませんでした。

 脱線しましたが、こうしたことのほか、「カップラーメンにチョイ足ししたらウマいものを見つけてみた」みたいな企画ではトリオの芸人にカップラーメン20種類を食べてもらったりしたこともあります。あとは、ミュージシャン男性と女性芸人のお見合い企画なんかもやったことがあります。

 こうした仕事は、事務所に連絡をし、その都度、取材謝礼や出演料を振り込むことになります。トリオでも「1組」扱いで、ギャラはピン芸人と変わりません。そうこうしているうちに、私も芸人3人の雑誌連載コラムを担当することになったのですが、そのうちの2人とはプライベートでも付き合うようになるんですよね。

 そうすると、ようやく広告宣伝ができるようになった規模の会社の宣伝担当者などから、「あなたは●●さんと親しいから、事務所を通さずに、格安で今度の広告企画に●●さんに出てもらえませんか? もちろん、仲介手数料は払います」なんて悪魔の囁きが来たこともあります。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン