この春、日大に進学した池江璃花子選手(時事通信フォト)

 その思いを共有する人たちは準備を進めている。6月には池江選手を指導する三木二郎さん(36才)が、所属していたルネサンスを退社し、池江選手が進学した日大水泳部のコーチに就任。二人三脚で東京五輪を目指す体制が整った。三木コーチによれば、池江選手は病室で自転車トレーニングをする日もあるまでに回復しているという。

「日大水泳部の部員たちも、池江さんの復帰を心待ちにしています。5月の初旬に彼女が日大のプールを訪れた時に集合写真を撮っていて、“同じ日大生の仲間”という思いから、水泳部の寮にはその写真が飾られています」(日大関係者)

 池江選手は日々、こうした周囲のサポートに感謝しているというが、その彼女が、闘病を始めた頃から気にかけている男性がいる。競泳男子のエース、萩野公介選手(24才)だ。

 幼少時代から「天才スイマー」と呼ばれた萩野選手は、2016年リオデジャネイロ五輪の400m個人メドレーで金メダルを獲得。女子のエースが池江選手なら、萩野選手は男子の絶対的エースだった。しかし池江選手が白血病を告白したわずか1か月後、「競技に正面から向き合える気持ちではない」と無期限休養を発表したのである。

◆池江選手が目指すは来年4月の日本選手権

 不調のきっかけはリオ五輪終了後の2016年9月に行った、右ひじの手術だった。

「手術自体は成功したのですが、スイマーとしての微妙な感覚が狂ってしまった。それにより、ズルズルと成績が下降する負のスパイラルにハマってしまったんです。責任感が人一倍強い萩野選手は、スランプに陥った時に“自分はエースだから、決して弱音を吐いてはいけない”と抱え込んでしまった。結果が出ないことでより一層追い込まれ、周囲に不調を明かした時には、すでに心身ともにボロボロ。休養するしかなくなったんです」(別の日本水泳連盟関係者)

 競泳は孤独な競技の1つといわれている。そのため、熾烈な競争を勝ち抜いて頂点に立った池江選手と萩野選手は、互いに尊敬の念を抱いていた。一方、ひとたびプールを離れると、今時の若者らしいやりとりができる関係でもあった。

 2人の関係性がわかるやりとりが、インスタグラムにアップされたことがある。

 萩野選手が去年の年末、愛用するスニーカーとともにドヤ顔を決めた「キモ撮り」を公開すると、池江選手が《ある先輩の真似です》と書き込んで同様のキモ撮り写真を投稿。これに萩野選手が《真似すんな》とつっこめば、池江選手は《すいません ちょっとやってみたかったです》と、かわいらしく返してみせた。

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