また、番組内で田原がジャニー氏について話したことも憶測を膨らませる結果となったようだが、田原は最近のインタビューでは必ずと言っていいほど、恩師について触れている。
〈15年もお世話になって、それこそ僕は事務所の長男坊みたいなものだったから、やりたい放題させてもらったし、いろいろ迷惑もかけたし……とにかくジャニーさんには感謝しかないから〉(『アサヒ芸能』2017年6月29日号 ※テリー伊藤との対談で)
〈阿木:思うに、ジャニーさんは特別トシちゃんが可愛かったんじゃないかしら。
田原:毎週、新宿駅のホームまで送ってくれたんですよ。僕にだけグリーン券をパッと手渡してくれて。本当によくしてもらいました。〉(『サンデー毎日』2017年7月2日号 ※阿木燿子との対談で。デビュー前、週末にレッスンのため地元・甲府から東京に通っていた時のことについて)
〈ジャニー(喜多川)さんには感謝しています。2時間、観客を飽きさせないショーを、どうやって作るか、教えてもらった。ジャニーさんもプロデューサーとして脂の乗りきった年代でしたし、今も僕が、こうしてステージに立っていられる基盤を作ってくれました〉(日刊スポーツ・2019年2月10日付)
〈ジャニーさんが一番やりたかったハリウッド的なキラキラしたステージを、アイドル田原俊彦を使って楽しんでいたんだと思う。やらされるこっちは色々な衣装を着せられてもう大変(笑)。でも、いろいろな曲をプロデュースしてもらい、舞台の演出から何から何まで仕込んでもらった。歌と踊り。あの頃の経験が僕の財産になっている〉(『週刊文春』2019年5月16日号)
これらの例からもわかるように、決して『サンジャポ』が特別だったわけではない。今年40周年を迎える芸能人生を振り返る番組構成で、田原が恩人のジャニー氏に触れるのは自然なことだ。
結論ありきで物事を見ると、ジャニーさんの噂に合わせてTBSがブッキングしたように思えるかもしれないが、田原の『サンジャポ』出演もジャニーさんへの感謝の気持ちも、通常通りなのである。
そもそも、安否に関する不確かな情報をSNSで拡散すべきではない。噂の真偽はわからない。それならば、ただ無事を祈るだけである。
●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。研究分野は松木安太郎、生島ヒロシなど。本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料を緻密に解き明かした著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題に。