国際情報

韓国「教科書無断修正で官僚逮捕」 “司法の反乱”の可能性

文在寅政権に対する司法界の反旗か(AFP=時事)

 今年度から使われている韓国の小学校6年生用教科書から、韓国人にとっては誇りであるはずの経済成長「漢江の奇跡」に関する記述が消えたという“異変”が話題になった。保守政権時代の功績を見直す作業の一環と見られているが、実は、昨年度に使われた小6教科書でも、制作の過程で異常事態が起きていたことが判明した。

 朝鮮日報日本語版の記事「韓国教育部、教科書執筆者に無断で内容を大幅に修正」(6月25日付)によると、2017年9月から翌年2月にかけて行なわれた教科書の修正作業において、韓国教育部(省に相当)の教科書政策課の課長と教育研究士が、小学校教科書の執筆責任者に無断で教科書の記述を書き換え、隠蔽していたことが発覚し、「職権乱用権利行使妨害・私文書偽造教唆」などの容疑で起訴されたという。記事にはこうある。

〈執筆責任者のパク・ヨンジョ晋州教育大学教授は「政権が変わるたびに教科書を修正するようなことはできない」と拒否した。このため、A課長は同教授を作業から排除するよう実務者らに指示し、代わりにF教授が修正を担当するよう措置を取った〉

 そして、この修正が政府の指示によるものではないように装うため、教科書の編纂機関側から修正要求が出て、責任者のパク教授がその協議に参加していたかのように「協議録」を偽造し、パク教授の印鑑まで無断で捺していた。

〈A課長とB研究士は検察で、「『文在寅政権の見解に合わせて教科書が修正された』と批判されるのではという懸念があり、『出版社が判断して修正する』形を取った」と語ったという〉

 では、どのように修正されたのか。この問題を報じた朝鮮日報日本語版の別の記事「無断修正:小学生向け教科書に『慰安婦』の名称、『妊娠した慰安婦』写真を追加」(6月25日付)によると、1948年8月15日の「大韓民国樹立」を「大韓民国政府樹立」に変更したり(国家ではなく政府ができただけと、李承晩の業績を矮小化した)、「北朝鮮は依然として韓半島(朝鮮半島)の平和と安保を脅かしている」という一文を削除したり、それまで使われていなかった「従軍慰安婦」という言葉を採用し、妊娠した慰安婦の写真を載せたりするなど、修正は213か所にも及んだという。

「反日」と「過去の保守派政権の否定」「北朝鮮への配慮」という文政権の3つの方針に沿った修正と言える。この教科書は昨年度、全国6064校の小学校で使われた。

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン