『やらかし先生~やらかし人生から学ぼう~』と銘打ち、自身の栄光と没落を解説。「マーシーこそ、失敗を重ねて表舞台から姿を消えつつある有名人が教師を務める人気番組『しくじり先生』に出るべきだ!」といったファンの妄想を実現化した。
そして、PVで解禁となったのが“覚せい剤と笑い”のミックス。過酷な経験談を話芸に昇華する。不謹慎な言い方をあえてするが、元シャブ中芸人・田代が解禁となった。
「覚せい剤を打つと覚せい剤中毒という病気になる。『やりたい』といった気持ちがなくなることはないです。完治はない、だから怖いんだよね」と平易な言葉で自身の病状を語る。笑いと真面目を行き来しつつ、覚せい剤を解説する田代。個人的にこのPVはかなり響いた。
僕は長年覚せい剤の注意喚起について疑問を持っていた。
キッカケは大学時代に受けた保健の授業。ある時のテーマが覚せい剤だった。そこで教員は「スピードと呼ばれるものは、疲れをなくし、高揚感を生み出します」と覚せい剤の種類別の効能を紹介。そもそもやるつもりがない僕にとって知らなくていい情報である。期末のテストでは覚せい剤の名称と効能を線でつなげる問題が出題された。覚せい剤の効能を精一杯伝道する教員のアホさに辟易とする。
覚せい剤の報道のあり方もおかしい。通り一遍に覚せい剤の怖さを解説したのち、なぜか紹介される具体的な入手方法。毎度、スタッフが隠しカメラ片手に渋谷の裏路地に出向く。「これが売人だ……」といったナレーションとともに、売人の特徴を丁寧に解説。
上記の事柄を知っても覚せい剤への嫌悪感は生まれない。むしろ若年層にとっては興味が生まれる可能性も。授業と報道が「覚せい剤のススメ」のように感じた。
『やらかし先生』で「刑務所から出てきても誰も助けてくれない。孤独になると、さみしいからまたやってしまう……」と田代は話す。多くの日本人が覚せい剤によって田代の富、名声、友達が失われたことを知っている。ゆえに言葉の浸透率が並じゃない。
同じく2018年10月にはAbemaTVに出演。スピードワゴン相手に元シャブ中芸人トークを展開。田代にしかできない話芸を披露した。
2019年6月には、『田代まさし ブラック マーシー半生と反省を語る』と名付けたYouTubeチャンネルを開設。毎回、ロックンロールバンド「クールス」のリーダー佐藤秀光と対談している。田代が語るのは現在働く更生施設「ダルク」での日々。なかでも印象に残ったやりとりを記したい。
佐藤「ダルク、何年いるの?」
田代「4年。今までは3年半経ったら、また手を出していたの……。それをやっと超えたんですよ!!」
どんな会話だよ!とツッコミたくなるトークを披露。現在、5本の動画が公開されている。特筆すべきこととしては、1つ新発見があった。薬物の後遺症だろうか、テレビに出演するたびに危うさを感じた滑舌の衰えが若干回復。間違いなく2018年の動画と比べて、良くなっている。