◆見た目は派手だけど、尽くすタイプ
理想の相手とは会えないまま35歳を目前にしていた頃、運命の出会いが訪れた。きっかけは、上司に付いて出席した、とある会合だった。霞が関で行われたその会合の後、懇親会が行われ、そこでリサさんは2歳年下の和也(かずや)さんと親しくなった。たまたま家が近く、互いに旅行好きで、意気投合した。その時点で、和也さんが公務員であること、そして東大出身であることをリサさんは聞き出していた。
「条件はクリアしているので、あとは人柄だけ、って思いました(笑)。で、早速、二人で飲みに行くことにしたんです。こういうとき、私は自分から誘います」
和也さんは東京生まれ東京育ち。自身では「普通の家庭に育った」というが、リサさんから見たら、十分にお坊ちゃんだった。恋人がいた時期もあるが、男友達と遊ぶのも、一人旅も好き、何よりこれまでは仕事が忙しく、あっという間に30歳を過ぎ、そろそろ結婚して家庭を持ちたいと考えている時期だった。
「タイミングがよかったんです。彼みたいな人に20代で出会ったら、なかなか結婚してくれないとイライラして、別れることになっていたと思う。そういう人、これまでに何人もいましたから」
デートを重ねるようになっても、自分のペースを崩したくない和也さんの邪魔にならないよう、常にタイミングを見計らって連絡を取るようにしていた。
「重いと思われたらおしまいだと思って。彼の友達とも仲良くして外堀を埋めつつ、ファッションもコンサバ好きな彼に合わせ、彼の好きな本を読んで会話が合うようにと……、私、見た目は派手に見られますが、すごく尽くすタイプなんですよ」
努力の甲斐あってか、二人は付き合い始める。自立している女性が好きという和也さんの期待に添うよう、リサさんは仕事にも一層力を入れた。結婚を視野に収め、何もかもが充実していた。しかし、肩に力が入りすぎて、見えなくなっていたものがあったのかもしれないと、今になって振り返る。