プライベートの時間を削るという点において、教師の仕事は芸能マネージャーの仕事と似ていると感じた。私自身、数年前、芸能プロダクションのマネージャーとして働いていたが、プライベートの時間はほぼなかった。業務時間が終わった後、クライアントからの電話に応対し、タレントから深夜に相談されることもあった。私は比較的、常に相談の電話やメールが来ても平気なタイプだったが、頻繁な連絡に「またか……」と精神的ダメージを受けるマネージャーも中にはいただろう。
「マネージャーに構ってもらえない」と嘆くタレントも、何名かいた。彼らは、おそらくマネージャーのプライベートを考えていないというより、業務内容を知らないのだろう。日々の業務にどれだけの時間を割いているのか、睡眠時間がどのくらい取れているのかなど、マネージャーの行動が見えないので、忙しさを想像ができず、甘えてしまう部分があるのだと思う。
今回、「教員不足問題」で炎上したコメントを見てみると、「教師の仕事は授業の準備以外にも、テストの作成、休日出勤、運動会の準備などの業務で、手一杯だ」という意見をいくつか見つけた。おそらく、教師という仕事も生徒や保護者が知らない業務が存在し、それらを把握していないから、教師に頼ってしまいたくなるのだろう。しかし、頼りたいほうの親は、相手に寄りかかりすぎることで、味方である存在が離れていくかもしれないという事態まで、考えるべきだと私は思う。
「教師と保護者&生徒」、「マネージャーとタレント」というように、両者の職業は心を持たない“モノ”を商品として扱う仕事ではなく、「人対人」で成り立つ仕事だ。ぶつかることもあれば、理解し合えないことも多いだろう。距離が必然的に近くなってしまう関係だからこそ、仕事の相手(パートナー)に対する配慮が必要だ。
どっちが偉いとか、立場が上という話ではなく、あくまでも長く付き合う“他人”なので、「ここから先は図々しいかな」と、自ら一線を引くことが、マナーであり、「先生にもプライベートな時間がある」という認識と気遣いがモンペにならない要素だと思う。